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 政府が2020年5月25日に緊急事態宣言を解除したことを受け、日経クロステックはIT大手各社の出社方針を調査した。緊急事態宣言時は多くのIT企業が「原則、在宅勤務」だったが、解除後は出社制限を緩和する動きが目立った。顧客企業に常駐するエンジニアについても、これまでの「常駐先の方針に従う」から変化の兆候が見られた。

IT大手各社は自社サイトで緊急事態宣言解除後の出社方針を示している
IT大手各社は自社サイトで緊急事態宣言解除後の出社方針を示している
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 「オフィスへの出社率を5割程度にする」――。野村総合研究所(NRI)は緊急事態宣言時に在宅やテレワーク勤務を原則としていたが、解除後は出社も認める方針に転換した。勤務時間帯にオフィスに在席する人の割合を示す出社率や出勤率は3密(密閉、密集、密接)を回避する具体策として内外に分かりやすい。

IT大手各社の緊急事態宣言解除後の対応
会社名出社に関する方針常駐社員に関する方針
NEC在宅勤務を基本とすることに変わりはない。出勤する場合も時差出勤や出勤日時を調整し、感染防止の3つの基本や3密回避を徹底。常駐社員も変わりはないが、例外的に社会機能を維持するための業務については最低限の出勤をしている常駐先で働き方を見直す動きが加速しており、常駐エンジニアの働き方も柔軟になる可能性がある
NTTデータ引き続き在宅勤務を推奨し、出社を多くとも半数までに抑えるとともに3密の回避や職場衛生管理を徹底する常駐先と個別に調整する
SCSK緊急事態宣言解除前の原則在宅勤務から解除後は在宅勤務を含めたリモートワークによる柔軟な勤務を常態化する。出勤の場合も感染予防策として出勤率を50%以下に抑制する常駐社員の5割程度は在宅勤務ができている。常駐先の方針に従うことに変わりはないが、感染予防の方針やルールが定まっていないときは必要な措置を講ずるように要請する。セキュリティーを強く意識してきた常駐先でも在宅を認めるケースが多くなっており、解除後も在宅から常駐に戻す動きは今のところ出ていない
TIS方針は変えておらず原則テレワーク。2020年6月以降は業務状況などを見ながら、テレワークや時差出勤を強く推奨している方針に変更はないが、常駐先と協議して方向性を検討していく
伊藤忠テクノソリューションズ緊急事態宣言が解除された都道府県で3密を避けて感染防止策を継続した形で段階的に「原則、在宅勤務」の出社制限を緩和。在宅勤務を基本とし、出社時も空席が1つずつ確保できる出社人数や週2日までの出社としている従来通り常駐先の方針に従う
日本IBM2020年7月末まで原則テレワークを実施。外部への訪問が必要な社員には感染予防策の実施を徹底している。8月からは週1~2回の出社を予定可能な限りリモートでの開発ができるように常駐先と相談している
日本ユニシス緊急事態宣言解除後も原則テレワークを実施。ただし業務制限を解除し、顧客要請があれば、感染防止策を取ったうえで要請に原則応える出社社員と同様の働き方とする
野村総合研究所緊急事態宣言解除前はテレワークや在宅勤務が原則だったが、解除後は在宅を最大限活用しつつも出社も認めた。オフィスへの出社率は5割程度を目安としている従来通り常駐先の方針に従う
日立製作所2020年7月末までは可能な限り在宅勤務を継続する。今後はニューノーマルを見据え、幅広い職務で在宅勤務活用を標準とした働き方への転換を図るべく、夏ごろから新たな働き方の試行を開始する。並行して制度・仕組みを見直して2021年4月からの本格適用開始を目指す解除前の原則在宅勤務から可能な限り在宅勤務に変更する
富士通出社方針は変えていない。在宅テレワーク勤務を基本とし、必要最低限の出勤にとどめる。段階的にオフィスでの業務を再開するとともに、出勤率を最大25%程度にコントロールする常駐先との協議のうえで対応を決める方針に変わりはない

 NRI以外にも「出勤率をコントロールしながら段階的にオフィスでの業務を再開し、最大でも25%程度」とした富士通や、同じく最大50%としたNTTデータなど、緩和方針とともに具体的な数値を示したIT企業が目立った。

 出社制限を緩和する一方で、新型コロナ後のニューノーマルを見据えて在宅勤務を「常態」とする動きもある。SCSKは「在宅勤務を含めたリモートワークによる柔軟な勤務を常態化する」との考えを明らかにした。日立製作所は2020年7月末まで在宅勤務を継続するだけでなく、「在宅勤務活用を標準とした働き方への転換を図るために夏ごろから新たな働き方の試行を開始する」とした。2021年4月からの本格適用を目指す。