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 LINEがデータを生かした小口金融事業を加速する。強みはネットの利用データを基に算出する「信用スコア」だ。同社はフリーランスや飲食店など、新型コロナウイルス感染症流行による危機をまともに受けている層の生活資金需要を取り込み、個人顧客を拡大。さらに中小企業向け融資などにも事業範囲を広げる計画だ。

 ネットを通じて単発や短期の仕事を受ける「ギグワーカー」がアフターコロナ経済の担い手として存在感を高めつつある。LINEはそうしたギグワーカーをはじめ、既存の金融事業者が取りこぼしていた利用者層の受け皿を目指す。新型コロナが浮き彫りにした、信用スコアの実力とは。

累計申込者は20万人を突破

 LINEの個人向け少額ローン「LINE Pocket Money」における2020年4月の月間新規申込者は3万9000人と、3月から16%増えた。同サービスを運営するLINE Creditによれば、消費者金融大手アコムにおける4月の月間新規申込者は3万3000人と3月比でおよそ4割減らしたという。

 LINE Creditがサービスを始めてまだ10カ月。累計申込者は20万人とアコムの年間申込者の3割程度にすぎないが、「手応えはある」とLINE Creditの川崎龍吾サービス企画チームマネージャーは事業の伸長に自信を見せる。

「LINE Pocket Money」の概要
「LINE Pocket Money」の概要
(出所:LINE Credit、以下同)
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 LINEの少額ローンが伸びているのは、新型コロナウイルスの感染拡大による収入減に見舞われている層の受け皿になっている可能性がある。内訳を見ると、業種では飲食業、雇用形態ではフリーランスの申し込みがそれぞれ顕著に伸びているからだ。

 業種別では飲食業の構成比が2020年2月から4月にかけて6.0%、7.1%、8.9%と徐々に上がっている。自営業、派遣/契約社員、パート/アルバイトの3つを合わせた利用者の申し込み構成比は2020年3月に全体の38%と、前月より3ポイント弱増えた。

雇用形態別の申し込み構成比
雇用形態別の申し込み構成比
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 飲食業とフリーランスはいずれも新型コロナ禍の影響をまともに受けた層だ。外出自粛や休業要請により、日本中の飲食店が客離れに見舞われた。

 景気の落ち込みにより、企業から個人で仕事を受けたり個人向けの講座を開いたりしているフリーランスの仕事も減った。クラウドソーシング大手クラウドワークスが同社を利用するフリーランス1400人に調査したところ、新型コロナ禍で収入が減ったフリーランスは65%に上った。こうした層の生活資金需要を、LINEが取り込んだ可能性があるという。

 アフターコロナの時代には「個人の働き方がより多様になる」と川崎マネージャーは話す。一例がギグワーカーだ。飲食店のデリバリーや物流などを中心に、新型コロナ危機で蒸発した需要と急増した需要のギャップを埋める働き手として注目が高まっている。一方でギグワーカーがアフターコロナ後も生活の糧を定常的に得られるかは心もとないと言わざるを得ない。