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既存の内燃機関車(ICE)と電気自動車(EV)の価格差が縮まり同等になる「価格パリティー(parity)」は近づいている。こう分析するのが、英IHSマークイット(IHS Markit)のアドバイザリーサービスディレクターのラインハルト・ショルシュ(Reinhard Schorsch)氏だ。
同氏は、ドイツ・フォルクスワーゲン(Volkswagen、VW)が2020年夏に欧州で納車を開始する電気自動車(EV)「ID.3」が、1回の満充電による航続距離(以下、航続距離)当たり車両価格の新基準になるとみる(図1、2)。VWもEVは取得コストと運用コスト(電気代・維持コスト)の双方でこれまでよりも大幅に安くなり、モデルによっては総所有コスト(TCO)でICEよりも大幅に優位になると主張する(図3)。
ショルシュ氏によれば、米国では米テスラ(Tesla)のEV「モデル3」がドイツBMWのICE「3シリーズ」に対してTCOで優位性を発揮している(図4)。ロイター通信の報道によれば、Teslaは、中国で販売する「モデル3」に、低価格で長寿命の新型電池を20年後半から21年の早期に導入する予定。同電池は、EVのコストをガソリン車と同等にするとテスラの関係者が語ったと伝えている。
では、本当にEVの価格パリティーは近づいているのか――。以下にもう少し詳しくみていく。