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 新型コロナウイルス(COVID-19、以下、新型コロナ)感染拡大による不織布マスクの需要急増に対応し、シャープなど他業種からのマスク生産参入が相次いだ。その多くが緊急事態に対応した一時的な措置としていた中で、アイリスオーヤマ(仙台市)は20年3月という早い段階で、国内工場に設備を新たに設けてマスク生産を国内回帰させ、大規模な増産を実施すると表明して注目を集めた。同社はその後、国内生産の計画規模を拡大、材料である不織布の生産まで自社で手掛けると明らかにするなど攻めの姿勢を崩さない。

アイリスオーヤマ代表取締役社長の大山晃弘氏
アイリスオーヤマ代表取締役社長の大山晃弘氏
(写真:阿部勝弥)
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 新型コロナ以前の不織布マスクはその多くが中国の工場で生産されていた。アイリスオーヤマも例外ではなく、大連工場(遼寧省)と蘇州工場(江蘇省)から日本向けに8000万枚/月を供給していた。新型コロナの収束で中国の生産体制が復旧する中、元の体制に戻すのではなく、なぜ国内への生産回帰や増強にこだわるのか。同社代表取締役社長の大山晃弘氏を直撃した。

従来比3倍弱の2億3000万枚/月のマスクを供給可能に

 「安心・安全なマスクへの需要の爆発的な増大には国内で対応する必要がある。そのための投資。コスト競争力も十分ある」と大山氏は自信をみせる。同社が角田工場(宮城県角田市)の一部を改修して国内に生産ラインを立ち上げると発表したのは20年3月。角田工場内の物流倉庫の遊休スペースの一部をクリーンルームに改修し、延べ7100m2に40機のマスク生産設備を導入する。

クリーンルームに搬送される生産設備の一部
クリーンルームに搬送される生産設備の一部
(出所:日経クロステック)
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 角田工場での生産量は当初、月産6000万枚としていたが、4月には同1億5000万枚まで増強すると発表した。これまでの中国工場での生産量と角田工場での目標生産量1億5000万枚/月(500万枚/日)と合わせると、同社の日本向けマスクの生産量は従来比で3倍近い2億3000万枚/月となる。

 大山氏は「国内ではナンバーワンの生産量」と胸を張る。今後、角田工場への設備搬入を進めつつ6月に稼働開始。随時設備を増強し、7月末までにフル稼働させる計画だ。投資額は30億円。新規で100人の雇用を見込む。