音声認識や触覚フィードバック、VRは?
今回、PS5の本体外観や対応ゲームソフトが発表になったものの、PS5の機能面で記者には大きく3つの疑問が残った。音声認識と触覚フィードバック、VRに関するものだ。
PS5のコントローラー「DualSense」にはマイクを搭載した。ヘッドセットなしでも、ユーザー同士で手軽に会話できるようにするのが目的だ。オンラインゲームでは、会話しながらゲームをプレイするユーザーは多い。技術的に音声認識に対応可能とみられるが、同コントローラーを発表した時点で日経クロステックがSIE広報に尋ねたところ、音声認識への対応について肯定も否定もしなかった。今回の発表でも、音声認識対応について言及がなかった。
ただし、周辺機器からは音声認識への布石を打っているように見える。PS5の周辺機器として発表した「メディアリモコン」 にもマイクを搭載している。同リモコンでは、「映画やストリーミングサービスの手軽な操作」をウリにしており、音声による操作が可能そうだ。なお、他社のコントローラーでは音声認識に対応している。例えば米グーグルのクラウド型ゲーム配信サービス「Stadia」用コントローラーでは、マイクを内蔵。音声アシスタント「Googleアシスタント」用のボタンを備えており、同ボタンを組み合わせて利用する。
より多彩でリアルな触覚フィードバックを提示できることも、PS5がウリとする機能の1つだ。だが、今回発表されたゲームソフトでどのようにこの機能を利用するのか分からなかった。新型コロナの影響で、今回の発表は映像配信によるものだったので、映像や言葉だけでは触覚フィードバックの特徴を伝えるのは難しい。そこで、今回は触覚フィードバックの説明にほとんど時間を割かなかったのだろう。
代わりに、きれいなグラフィックスを見せるトレーラー映像が多かった。映像配信でゲームの特徴が伝わるように腐心した結果だといえよう。今回紹介されたPS5向けのゲームは28タイトル。このうち、PS5でしかプレイできないゲーム(「エクスクルーシブタイトル」)の内容や数が普及度合いを左右する。28タイトルのうち、SIEが販売するゲームは9タイトルで、それらは必然的にエクスクルーシブタイトルになる。例えば、ドライブシミュレータゲーム「グランツーリスモ」シリーズの最新作や「マーベル スパイダーマン」の続編などの人気作がある。加えて、PS5向けに一定期間に独占販売される「期間エクスクルーシブタイトル」が少なくとも6タイトルあるという。
VRについても、今回言及がなかった。PS5は、SIEが手掛けるVR用ヘッドマウントディスプレー(HMD)「PlayStation(PS) VR」にも対応する。PS VRは、VR用HMDで最も売れた機種だ。SIEによれば、発売された2016年10月から2019年12月31日までで、累計実売台数は500万台に達した。
発売から既に4年近くが経過し、更新の時期を迎えつつある。PS VRはPS4とケーブルで接続して利用するタイプだが、現在の主流はパソコンなどとの接続が不要な「スタンドアロン」型だ。そのため、VRコンテンツのユーザーからは、スタンドアロン型、あるいは無線で接続できるワイヤレス型のPS VRを求める声がある。PS5は前述の触覚フィードバックに加えて、新しい3Dオーディオ技術に対応するなど、VR向きの機能を備える。それだけに、PS VRの次世代機に注目が集まっているが、今回はVR関係の発表はなかった。
ただし、今回発表されたPS5のゲームの多くが、「FPS(First Person Shooter、一人称視点シューティングゲーム)」や「TPS(Third Person Shooter、三人称視点シューティングゲーム)」というジャンルのゲームだった。FPSやTPSはもともとゲーム業界で人気のジャンルだが、VR対応にも向く。それだけに、今回FPSやTPSのゲームが多かったことは、VR強化への布石かもしれない。