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 デジタル技術の導入などで製造業の生産性を高めるDX(デジタルトランスフォーメーション)を促進する鍵の1つは言うまでもなくAI(人工知能)技術の活用だろう。AI開発スタートアップのグルーヴノーツ(福岡市)は製造業現場での活用を意識し、「カイゼン」活動を支援する機能を備えるSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)「MAGELLAN BLOCKS(マゼランブロックス)」を提供している。製造業における同サービスの適用範囲や優位性について同社代表取締役社長 最首英裕氏らに話を聞いた。

グルーヴノーツ代表取締役社長 最首英裕氏
グルーヴノーツ代表取締役社長 最首英裕氏
(出所:グルーヴノーツ)
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 MAGELLAN BLOCKS(マゼランブロックス)は数値解析、画像解析、文章解析などそれぞれに使える各種のAIモデルをそろえた独自のAI処理系と、シフト計画、ルート計画、積載計画など「組み合わせ最適化」の演算に特化した処理系をクラウド上で利用できるSaaSだ。組み合わせ最適化についてはカナダのディーウェーブシステムズの量子アニーリング方式量子コンピューター「D-Wave」などに対応するモデルも組み込まれ、システム開発することなく利用できる。利用に際してユーザーは特別なハードウエアを購入する必要はない。

MAGELLAN BLOCKSのアーキテクチャー
MAGELLAN BLOCKSのアーキテクチャー
左側がデータの前処理、真ん中の赤い部分がAI、右側の青い部分は量子コンピューターを活用できる組み合わせ最適化を行う部分となる。AIモデルには画像以外にも数値、文章などがある。組み合わせ最適化処理系はシフト、ルート、積載など、幾つかが準備されている。(出所:グルーヴノーツ)
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 MAGELLAN BLOCKSのこれら機能を組み合わせて、データの分析と統合、機械学習や深層学習を使った予測、量子コンピューターなどを使った最適化の3つの領域で製造業の現場を効率化できるという。

MAGELLAN BLOCKSを活用できる3つの領域
MAGELLAN BLOCKSを活用できる3つの領域
(出所:グルーヴノーツ)
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 製造業での具体的な活用法は例えば次のようになる。ある製品の需要を機械学習で予測し、精度の高い予測に対して、適切な生産計画やこの計画を実現するために必要な工場のラインや人員のシフトを、量子コンピューターを活用した組み合わせ最適化モジュールで作る。もちろん、学習データに適したデータを見極め、きちんと分析することが必要だ。

組み合わせ最適解を解くべき理由

 なぜ、AIと量子コンピューターの組み合わせなのか。グルーヴノーツ代表取締役社長の最首英裕氏は「AI・機械学習は未来の状態を正確に予測できるが、予測は現実に必要な答えそのものではないから」と説明する。ではどうすればいいかという部分はAIでは解決できないという。例えば、誰をシフトに入れたらいいのか、何人配置したらいいのか、どういうルートで荷物を運んだらいいのか。これは組み合わせ最適化の問題であってAI・機械学習では最適解に到達しない。