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 刷新か延命か――。トヨタ自動車が選んだのは後者だった。トヨタ自動車は、レクサスブランドのFR(前部エンジン・後輪駆動)セダン「IS」を部分改良した(図1)。2013年5月に発表した3代目のISから内外装やADAS(先進運転支援システム)を変更した一方で、プラットフォーム(PF)は7年前に導入したものを使い続けることにした。

図1 部分改良したレクサスの新型セダン「IS」
図1 部分改良したレクサスの新型セダン「IS」
日本では2020年秋ごろの発売を予定する。(出所:トヨタ自動車)
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 20年6月16日に米国で新型ISを世界初披露し、その様子をオンラインで配信した。日本では同年秋ごろの発売を予定する。

セダンは3車種に集約へ

 トヨタは数年前からレクサスの車種再編に取り組んできた。大方針はSUV(多目的スポーツ車)重視で、販売が低迷するセダンを縮小する戦略である。18年時点では5車種あったレクサスのセダンは、「HS」が同年3月に販売を終了し、「GS」も20年8月の生産終了が決まっている(図2)。

図2 レクサスのセダンは3車種に集約へ
図2 レクサスのセダンは3車種に集約へ
「HS」と「GS」を廃止し、最小限のラインアップで大型から小型までカバーする戦略である。トヨタの発表を基に日経Automotiveが作成した。(画像の出所:トヨタ自動車)
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 生き残ったのは「LS」と「ES」、そしてISの3車種。旗艦セダンのLSは2017年1月に、最量販セダンのESは2018年4月にそれぞれ全面改良を実施した。PFは、トヨタの新設計思想である「TNGA」に基づく新世代品を採用した。ESは12年に発表した先代から約6年での刷新だった。

 その事実を考えれば、13年の販売開始から7年がたつISが全面改良になっても不思議ではなかった。FR車向けの新PF「GA-L」はLSやトヨタのセダン「クラウン」などで量産の実績があり、ISに横展開することは可能だ(図3)。

図3 トヨタのFRプラットフォーム「GA-L」
図3 トヨタのFRプラットフォーム「GA-L」
画像はセダン「クラウン」のもの。(出所:トヨタ自動車)
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 それでもトヨタは、ISの部分改良を選択した。小型車の領域では特にSUVシフトが顕著で、セダンに開発リソースをふんだんに投入するのは難しいと判断したようだ。制約があるなかで新型ISは、上位車種だったGSやHSの受け皿になるように車両の大型化や走行性能の向上を部分改良で実施した。