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 「今後18カ月の間に、少なくとも12の新型車を投入する」――。日産自動車社長兼CEO(最高経営責任者)の内田誠氏が2020年5月末に宣言した通り、日産が新車攻勢を開始した(図1)。

図1 日産自動車社長兼CEOの内田誠氏
図1 日産自動車社長兼CEOの内田誠氏
2020年5月28日に開いた会見で、新しい中期経営計画「NISSAN NEXT」を発表した。(出所:日産自動車)
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 その第1弾が、同年6月15日に米国で発表した中型SUV(多目的スポーツ車)の新型「ローグ(Rogue)」(日本名:エクストレイル)である(図2)。同社COO(最高執行責任者)のアシュワニ・グプタ(Ashwani Gupta)氏は「米国市場における最量販車種であるローグの刷新を機に、強い日産を復活させる」と意気込む。

図2 日産が米国で発表した中型SUVの新型「ローグ」
図2 日産が米国で発表した中型SUVの新型「ローグ」
北米市場では20年秋に発売する予定である。(出所:日産自動車)
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 だが、道のりは楽ではない。北米市場では特に、業績悪化の要因となったインセンティブ(販売奨励金)頼りの値引き販売手法と決別する必要がある。モデル末期の先代ローグのインセンティブは1台当たり3000ドル(1ドル=107円換算で約32万円)程度と、トヨタ自動車やSUBARU(スバル)などの競合車よりも値引き幅が大きい。

 日産は新しい中期経営計画「NISSAN NEXT」で、コアマーケット(主要市場)として日本と中国、そして北米の3市場に注力する方針を発表している。「次の日産」に向かうために、第一歩である新型ローグの失敗は許されない。

 社長の内田氏が投入を宣言した12の新型車の中には、日産ファンにとって待望となるスポーツ車「フェアレディZ」もラインアップされている(図3)。変革のバトンを“Z”までつなげられるか、日産が再び走り始めた。

図3 日産がスポーツ車「フェアレディZ」の新型投入を示唆
図3 日産がスポーツ車「フェアレディZ」の新型投入を示唆
20年5月28日の会見で公開した動画の中で、新型フェアレディZとみられる車両のシルエットを公開した。(出所:日産自動車の動画をキャプチャー)
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競合ひしめく中型SUV市場

 日産が20年秋に発売する新型ローグで目指すのが、安売りというイメージの払しょくである。内田氏が「毀損したブランドを立て直すのは非常に難しいと実感している」と語るように、現実は甘くない。

 ローグが属する中型SUVの市場には、トヨタの「RAV4」やホンダの「CR-V」を始め、多くの競合車種がひしめく。そのなかでインセンティブという誘惑に負けず、販売価格を維持しながら台数を積み上げなければならない。