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 独特の「魂動デザイン」が人気のマツダ。マツダ自身も顧客価値の柱として注力する魂動デザインの魅力の1つは、躍動感を生み出すボディー外板面の連続性と抑揚の繊細な変化にある。

生産ラインを流れるマツダのSUV「CX-30」
生産ラインを流れるマツダのSUV「CX-30」
2019年10月発売の同車も独特の躍動感を感じる「魂動デザイン」が魅力の1つ。(出所:マツダ)
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 魂動デザインの複雑な曲面は、例えばボディー外板のプレス成形1つをとっても生産技術者の腕の見せどころと言える。繊細な曲面そのものもそうだが、複数のパネルを組み合わせても連続性を損なわない精度を、コストや生産性、加工精度などの壁をクリアして量産で実現するのはいかにも難しそうだ。この難題をマツダはどうやって実現しているのか。取材で解き明かしてみよう。

「職人技の量産化」が目標

「魂動磨き」を実演するマツダの技能者
「魂動磨き」を実演するマツダの技能者
当てものとサンドペーパーが分離しないよう両手で持ち、金型表面に押し付けながら往復させる。基本的な磨き方は「魂動磨き」として決めつつも、実際の力加減や動かす方向は技能者が調整する。(出所:日経ものづくり)
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 マツダの生産技術における大きなテーマが「職人技の量産化」である。同社はこれを「Mass Craftmanship(マスクラフトマンシップ)」と呼ぶ。希少性と感動の元となる職人の手仕事と、短時間/低コスト/省エネ/高精度といった生産性の高さを実現する機械やロボット技術を高次元で融合しようという取り組みである。

 デザイナーが最終的には手作業で仕上げて完成させる魂動デザインのクレイモデル。その形状を、デザインの意図をくみ取った上で寸分たがわず再現する。このためにはまず、デザイナーの意図した形状に外板を加工するプレス成形の金型を、正確に造り上げる必要がある。

開発技術で仕上げた「御神体モデル」
開発技術で仕上げた「御神体モデル」
大きさは280×1150×200mm、重さは116kg。デザイナーが作製したクレイモデルを3次元計測した上で3Dデータ化。そのデータを使って鋳物を作製し、NC制御による切削加工と手作業による磨き(仕上げ加工)を実施。その取り組みを通じて品質やコス/期間に関する課題を抽出した。(出所:日経ものづくり)
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