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 「コロナ後の世界で企業に求められるのは回復力と収益力だ。今回の新型コロナ禍においてもすぐに回復して収益を確保できた企業は、新型コロナ禍の以前から変革に注力していた企業だった」――。

 欧州SAPのChristian Klein(クリスチャン・クライン)CEO(最高経営責任者)は2020年6月16日から開催している年次カンファレンスの「SAPPHIRE NOW 2020」の基調講演で、コロナ後の見通しをこう語った。今年のSAPPHIREはオンラインでの開催である。

 KleinCEOは「変革が重要になる」と強調した。「コロナによってデジタルトランスフォーメーション(DX)は選択肢ではなく、必須の課題になった」と指摘し、「危機から立ち直るには将来への成長に備えなければいけない」と訴えた。

SAPPHIRE NOW 2020の基調講演で登壇した欧州SAPのChristian Klein(クリスチャン・クライン)CEO(最高経営責任者)
SAPPHIRE NOW 2020の基調講演で登壇した欧州SAPのChristian Klein(クリスチャン・クライン)CEO(最高経営責任者)
(出所:SAPジャパン)
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 顧客企業の変革を支援するためにKleinCEOは「ビジネスプラットフォームとなるアプリケーションを開発し続ける」とした一方で、「インフラストラクチャーは外部に任せる方針だ」と話した。同社が改めてアプリケーション領域に集中すると強調した格好だ。

 SAPの主力製品であるERP(統合基幹業務システム)の「S/4HANA」をはじめ、同社のアプリケーションはクラウドサービスとしての提供形態にシフトしている。これまでは自前のデータセンターからクラウドサービスを提供してきた。

 だが今後はインフラ層については、「Alibaba Cloud」「Amazon Web Services」「Google Cloud」「Microsoft Azure」の4つのパブリッククラウドサービスを使うように顧客に促す。SAPは以前からアプリケーションを4つのクラウドサービス上で動作できるようにしている。

 インフラ層を外部に任せる一方で、SAPが自ら開発し続ける姿勢を強く打ち出したのがERPなどのビジネスアプリケーションと、それを支える「ビジネステクノロジープラットフォーム」と呼ぶミドルウエア層だ。

 「ビジネスアプリケーションを提供するには、パートナーの開発したソフトウエアとの連携や業務プロセスを統合するワークフロー管理ソフトが欠かせない」。KleinCEOはビジネスアプリケーションを管理するためのミドルウエア層まで自社開発する意義をこう説明した。

サポート期限の2年延期は「必要な時間」

 SAPは今後、アプリケーションを2つの方向性で強化すると明らかにした。1つは業種別の「Industry Cloud」と呼ぶサービスの提供だ。25の業種に特化した業務プロセスを支援するためのクラウドサービスを提供していく。

 特徴は「業種特有の業務は顧客がよく知っている」(KleinCEO)として、顧客企業と共同で開発する点にある。既に機械大手の米Honeywell(ハネウェル)などと共同でアプリケーションを開発すると明らかにしている。顧客企業だけでなく、パートナーとも今後積極的に提携していくとした。