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長期化する航空機の需要減が事業計画を直撃

 2020年5月11日の決算発表会で三菱重工は新型コロナの影響による民間航空機事業の厳しい状況について明らかにした。同社によると、2020年度の旅客需要は前年比で半減する見通しで、エアライン(航空会社)各社の設備投資も当然減ると予想される。

 米ボーイングなどの機体メーカーは生産再開するも減産は避けられず、ティア1サプライヤーとして部品を納入する三菱重工の航空事業も影響を受ける。同社の2020年度の売上予測では、機体メーカーに納入する構造体は10〜30%、航空エンジンは35〜55%当初計画よりも減るという。

 旅客需要の激減は当然、スペースジェット事業に打撃を与える。航空会社の業績悪化が新規機体への投資抑制につながるのは確実だろう。決算説明会の席上で三菱重工代表取締役社長の泉澤清次氏は、「長期的には市場が回復するだろうが、リーマン・ショックからの回復以上に時間がかかる可能性もある。生活様式や働き方、価値観などの変化も見られ、このような社会の変化が業界に与える影響も見極める必要がある」と述べた。

 100席クラス以下のジェット機の市場は、三菱重工がカナダ・ボンバルディアのCRJ事業を買収したため、強力なライバルはブラジル・エンブライエルだけ。長期的には有望な市場なのは間違いないかもしれないが、問題は市場が回復するまで持ちこたえられるかだろう。

開発責任者も交代

 2020年度のスペースジェットの開発費は2019年度の約1400億円から約600億円へと半分以下になる。三菱航空機の最高開発責任者(CDO)だったアレックス・ベラミー氏は退任し、2020年7月1日付で川口泰彦氏が同社執行役員としてチーフエンジニア兼技術本部長に就任する。同社によると、報道されていた「従業員の半減」や「モーゼスレイクフライトセンターを除いた米国拠点の閉鎖」も段階的に進めていくようだ。

 川口氏は三菱重工および三菱航空機で35年間航空機の設計に従事しており、モーゼスレイクフライトセンター副センタ―長として米国での飛行試験において中心的な役割を果たしてきた。なお、ベラミー氏が務めていたCDOは空席となる。CDOは従来、70席クラスの新型機「SpaceJet M100」の開発検討なども含めた業務を担っており、川口氏はM90のTC取得に集中する。