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 2020年6月14日午前5時15分。北海道・大樹町にあるインターステラテクノロジズ(北海道・大樹町、以下、IST)の射場から、観測ロケット「えんとつ町のプペルMOMO5号機」*1(以下、MOMO5号機)が打ち上げられた(図1)しかし、打ち上げ後36秒を経過した時点で異変が生じ、機体の姿勢が徐々に崩れ、70秒を経過したところで緊急停止した。最高高度は11.5km。目標高度の100km超に達することなく、射点から4.12km離れた沖に落下・着水した。IST取締役でファウンダーのホリエモンこと実業家の堀江貴文氏が見つめる目の前での出来事だった。

図1 えんとつ町のプペルMOMO5号機
図1 えんとつ町のプペルMOMO5号機
2020年6月14日午前5時15分、北海道・大樹町の射場から打ち上げられた瞬間。(出所:インターステラテクノロジズ)
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*1 2020年5月2日から受け付けを開始した、MOMO5号機の打ち上げを支援するクラウドファンディングで1000万円コースのリターン「MOMO5号機ネーミングライツプラン」を西野亮廣エンタメ研究所が購入。「えんとつ町のプペルMOMO5号機」と命名された。名称の由来は、西野亮廣エンタメ研究所オーナーの西野亮廣氏が制作した絵本『えんとつ町のプペル』による。

 同日に開かれたオンライン会見で同社代表取締役社長の稲川貴大氏は、緊急停止に至った経緯について、次のように推察を述べた。

 「打ち上げ後36秒でノズルに何らかの破損が生じた(図2)。この破損によって推力が偏り、機体の飛行に乱れが発生。打ち上げ後65秒の時点で機体の姿勢がフラフラして、大きな乱れが生じ、基準値を超えたので緊急停止信号を出し、飛行を中断した。ノズルの破損の原因については、まだ確定的に言えるものは判明しておらず、今後究明していく」。

図2 ロケットエンジンのノズルが破損
図2 ロケットエンジンのノズルが破損
ロケットエンジンのノズルが破損した打ち上げ後36秒前後の時点での映像。ロケット搭載カメラの画像には赤い火花のようなものが見える(a)。その後、機体の姿勢は不安定になった(b)。(出所:記者会見YouTube中継)
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 稲川氏は「宇宙空間に達するというミッションを達成できなかった点は申し訳ない」と、投資家やスポンサーに謝罪する一方で、「次の打ち上げへの対策も見えている。輸送業というビジネスをやることに変わりはない。次に向けて前向きに取り組んでいく」と、「次の打ち上げ」について繰り返し言及した。地元大樹町の酒森正人町長も「引き続き果敢なチャレンジを期待している」とメッセージを寄せた。

 こうした前向きな発言の背景には、2020年5月2日の打ち上げ「延期」にまつわるISTと大樹町の葛藤、その後の歩み寄りというドラマががあった。