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 理化学研究所と富士通が共同開発したスーパーコンピューター「富岳(ふがく)」が世界ランキング4冠を達成した。前世代機からの反省や開発計画の見直しなどを経てたどり着いた成果である。ただ、関係者が目標ではなく結果と語る通り、本当に険しい道のりはこれからだ。

 理化学研究所と富士通が共同開発したスーパーコンピューター「富岳(ふがく)」が2020年6月22日(ヨーロッパ夏時間)に発表されたスーパーコンピューターの性能を競う世界ランキングにおいて、4部門で1位を獲得した。最も代表的な「TOP500」で日本勢の1位獲得は8年半ぶりで、同時4冠達成は世界初の快挙だ。

「富岳」の外観
「富岳」の外観
出所:理化学研究所
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 富岳の開発は2014年4月にはじまり、現在は2021年度の供用開始に向けてシステムの調整中だ。検討は2010年から始まっており、「構想から10年」(理化学研究所 計算科学研究センター松岡聡センター長)でその性能を世界に示した。富岳は前世代機「京(けい)」の40倍の性能を発揮しながら、消費電力を2.2倍に抑えた。

富岳はまだ「8合目」

 「富士山の登山に例えると8合目をやっと過ぎたところだ」。6月23日の記者会見、理研の計算科学研究センターでフラッグシップ2020プロジェクトのプロジェクトリーダーを務める石川裕氏は、富岳のプロジェクトの進捗をこう表現した。ほぼ登り詰めたのではなく、むしろこれからが本当に険しい道になるとの思いを込めた。

理研と富士通が開いた記者会見の様子
理研と富士通が開いた記者会見の様子
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 石川氏によれば、これから半年間でシステムのさらなるチューニングと安定化作業が必要になるという。「気を引き締めて来年度からの供用開始に備えたい」(石川氏)。受賞の翌日からさっそく先を見据えた格好だ。