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 日立製作所はIoT(インターネット・オブ・シングズ)事業の世界展開を支援するサービスを始める。機器の稼働状況の可視化やデータ分析を通じ、企業のIoTによる新規事業創出を支援する。料金体系は利用状況に応じたサブスクリプション形式とし、IoT事業の立ち上げコストを最大2割削減できるとうたう。

 日立は自らの工場で培ったOT(装置や工程の制御技術)や人工知能(AI)のノウハウを生かし、新型コロナウイルスの危機を経てデジタル変革を急ぐ企業の需要を取り込みたい考えだ。東原敏昭社長兼最高経営責任者(CEO)が目指す「スケール・バイ・デジタル」の先兵となるか。

ニーズが高い汎用的な機能を一通り提供

 新サービスの名称は「Hitachi Global Data Integration」。2020年6月30日に販売を始め、7月末から提供する。

 企業が世界規模でIoT事業を立ち上げるために必要な基本機能一式をクラウドサービスとして用意した。通信基盤をはじめ、IoT機器の稼働監視、データの収集や蓄積、分析、可視化などだ。7月の北米での提供を皮切りに2020年内に中国へ展開。提供地域は欧州やオーストラリアにも順次広げる。

「Hitachi Global Data Integration」の概要
「Hitachi Global Data Integration」の概要
(出所:日立製作所、以下同)
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 通信基盤については各国の通信事業者の回線と接続するためのAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を用意し、海外に出荷したIoT機器に取り付けたSIMの開通や停止、通信状態を一元管理する。このほか、IoT機器の位置追跡や稼働監視、アラート管理など「データ活用のニーズが高い汎用的な機能を一通り提供する」(社会システム事業部の板宮高志社会・通信ソリューション本部主任技師)。

 例えば「アセット管理」においては機器のシリアル番号を登録しておき、位置や機器の温度、圧力といったデータを収集。グラフなどで図示する。自動車や建機、家電、工場の機器などの管理を想定している。データがしきい値を超えたら管理者に警告を送る機能やアクセス権を一元管理する機能なども提供する。

「アセット管理」機能の画面例
「アセット管理」機能の画面例
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 「新型コロナ危機を経験し、多くの企業が事業のデジタル化を急いでいる。新サービスを通じて企業のデジタル変革を支援したい」。古宮俊彦社会プラットフォーム営業統括本部第二営業本部第一営業部部長は新サービスの狙いをこう説明する。新型コロナで人の移動や商店の営業が世界規模で規制され、企業は消費の急減やサプライチェーン断絶に見舞われた。変化に強い事業構造を築くため、企業は「デジタル技術を活用して顧客と継続的につながりたいと考え始めた」(同)。