全3169文字
PR

 同社は米Microsoft(マイクロソフト)のクラウド型オフィススイート「Microsoft 365(旧称Office 365)」を使用している。もともと同社は社外から社内ネットワークにアクセスする際はVPN(仮想私設網)を介さなければならないようにしており、Microsoft 365を社外から使用する場合も同様だった。2020年2月、新型コロナが日本でも流行し始め、在宅勤務を取り入れる必要を検討し始めた際、VPNを介さなくてもMicrosoft 365を使えるように変更した。

各階の天井に約150個のセンサーを埋め込む

 「最も大きな挑戦が固定電話の撤廃だった」とデジタル総合戦略部兼経営企画部企画室兼人事総務部Work-X室の鈴村良太氏は振り返る。移転前は社員一人ひとりの席に固定電話を置き、必要な社員にiPhoneを支給していた。新本社への移転に伴い、特殊な事情がある場合を除いて固定電話を廃止し、全員にiPhoneを支給することにした。基本的に名刺などには携帯電話番号しか書かないようにし、どうしても部署代表電話が必要なら専用のiPhoneを当番制で管理するなどしてもらう。

 コミュニケーションを活性化するため、会社支給のiPhoneには「Find M」という独自のロケーションアプリを入れており、各社員の居場所を把握し、連絡が取れるようにしている。各階の天井に約150個のセンサーを埋め込んでおり、iPhoneがビーコン(Bluetoothの信号を使って情報を発信する端末)となってその社員のいる場所を示す。相談のためにその社員を探す場合には便利だ。この仕組みを使って、社員用カフェの混み具合もヒートマップで表示している。「これからもデータを測定・可視化・検証して、オフィスの利用状況を分析し、より最適な職場環境の実現につなげたい」(鈴木室長)。

 「新本社に移転して間もないし、新型コロナで在宅勤務者も多いが、これまでとは明らかに社内における人の流れが変わったと実感している」(鈴木室長)。新型コロナは期せずしてオフィスの存在意義を改めて問うことにもなった。「Web会議などを取り入れることで日常のタスクはテレワークでも回ることが分かった。しかし新しい価値を創造するためには、直接の対面コミュニケーションや普段一緒に仕事をしていない人と偶然に会って会話するような仕掛けも重要なのではないか。新本社をそのための有効な場として使いたい」と鈴木室長は語る。