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 「先生の顔が見えたので安心して話ができました」――。湘南鎌倉総合病院が運営する新型コロナウイルス専用施設では、タブレット端末「iPad」を用いたビデオ通話によって患者に安心感を与えつつ、医療従事者の感染リスクと負担の引き下げを実現している。タブレット端末の導入を機に、音声認識や人工知能(AI)問診といった最新ツールの検証にも取り組んでおり、病院のDXが一気に進む可能性がある。新型コロナ対策の最前線からリポートする。

湘南鎌倉総合病院が運営する新型コロナウイルス専用施設(出所:日経クロステック)
湘南鎌倉総合病院が運営する新型コロナウイルス専用施設(出所:日経クロステック)

 新型コロナ専用施設は、入院患者の病室がある「レッドゾーン」と医療従事者などが待機する「グリーンゾーン」に分かれている。両ゾーン間の非接触コミュニケーションにタブレット端末が活躍する。医療従事者がレッドゾーンに入る際には防護具を着用するため、患者が医療従事者の表情を十分に見ることができない。グリーンゾーンからのビデオ通話であれば防護具を外せるので、表情が見えるというわけだ。

湘南鎌倉総合病院が運営する新型コロナウイルス専用施設ではタブレット端末を活用している(出所:日経クロステック)
湘南鎌倉総合病院が運営する新型コロナウイルス専用施設ではタブレット端末を活用している(出所:日経クロステック)

 患者は医師の表情を見て、自分の話が医師に伝わっているか確認できる。新型コロナ専用施設で働く医師は「表情が見えることで互いの意図が伝わりやすくなる。信頼関係の構築にも役立っている」とビデオ通話の効果を評価する。患者のデータに何らかの変化があった際にも、すぐにビデオ通話で患者の状態を確認できるため、医師や看護師がレッドゾーンに入る回数を減らせるという。こうした効果もあって、湘南鎌倉総合病院では医療従事者の感染をゼロに抑えている。

 新型コロナ専用施設には、タブレット端末の他にもアバターロボット(分身ロボット)を配備している。タブレット端末は相手に応答してもらう必要があるが、アバターロボットは患者の応答が必要ないため、搭載するカメラで病室の様子を見て回るといった使い方が適しているという。医師に付き添うように動かして、遠隔で患者とのやり取りを記録するといった用途にもアバターロボットを用いている。

湘南鎌倉総合病院が運営する新型コロナウイルス専用施設で活躍するアバターロボット(出所:湘南鎌倉総合病院)
湘南鎌倉総合病院が運営する新型コロナウイルス専用施設で活躍するアバターロボット(出所:湘南鎌倉総合病院)