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 携帯電話事業者ではない企業や団体が個別ニーズに応じて自営の5G(第5世代移動通信システム)を活用できる。これが総務省の進める「ローカル5G」制度である。既に2019年12月に「ミリ波」と呼ばれる28GHz帯の電波を利用する5Gに関して、一部の周波数帯域で制度化が完了した。これを受け、関東近辺でいえば、地方自治体の東京都、地域通信事業者のNTT東日本、システムインテグレーター、ケーブルテレビ事業者などがローカル5G免許を取得。自社主導やパートナー企業などと共同で各種の実証実験に乗り出している。

NECの新井智也氏
NECの新井智也氏
新井氏はネットワークサービスビジネスユニット新事業推進本部 本部長(出所:NEC)
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 NECは玉川事業場内に「ローカル5Gラボ」を開設。5Gの実験試験局を開設してローカル5Gの活用を目指す企業や団体に向けて、実証実験やシステム構築を支援する事業を始めた。NECはローカル5Gを製造業向けにどう活用すべきだと考えているのか。NECの新井智也氏(ネットワークサービスビジネスユニット新事業推進本部 本部長)に話を聞いた。

NEC玉川事業場「ローカル5Gラボ」
NEC玉川事業場「ローカル5Gラボ」
サブ6のローカル5G実証環境を用意している(出所:NEC)
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 ローカル5Gは「超高速大容量」「超低遅延」「多数同時接続」という5Gの高性能*1と「安全性」「安定性」「柔軟性」といったローカルネットワーク(自営網)の利点を併せ持つサービスとなる。工場の生産ラインには社外秘の情報が流れるし、外部からの攻撃も心配だ。外部のネットワークと切り離せて強固なセキュリティーを施せる自営網で運営しつつ、5Gの高性能を得るといった使い方は、携帯電話事業者の5Gサービス網の利用では難しい。

*1 5Gの高性能はしばしば、最大20Gビット/秒の「超高速大容量(eMBB)」、1m秒以下の「超低遅延(URLLC)」、1km2あたり100万台の「多数同時接続(mMTC)」と説明される。だがこれはあくまで将来の目標値で、現在サービス中の5Gはこれらの性能をまだ達成していない。URLLCとmMTCについては、標準規格自体が現在策定中。5Gのすべての性能が利用可能になるのは数年後と言われている。