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 企業の社印(角印)の電子版に相当するサービスの開発に、GMOグローバルサインや帝国データバンクが相次いで名乗りを上げた。福岡県飯塚市も住民が遠隔地からスマートフォンのアプリで住民票などを受け取れる実証事業に乗り出すと発表した。企業や自治体などが作成する文書のデジタル化が加速しそうだ。

 社印は企業が発行する請求書や見積書、領収書などに広く使われている。いわば企業が使う認印だ。しかし書類にハンコを押すやり取りには印刷や封入、郵送などの手間がかかるうえ、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためのテレワークが広がった現在は電子化のニーズが高まっている。

 ネット上での契約行為などで一般的に思い浮かぶのは電子署名だろう。ただ電子署名は企業ではなく個人が利用できる仕組みであるため、企業が電子署名を使うには社内担当者が個人として本人確認して電子証明書を取得する必要がある。人事異動があると新たな担当者が電子署名を利用するために電子証明書を取得し直す必要があったり、企業の代表者からの電子委任状が必要になったりする。

 つまり実務では企業の担当者ごとの電子署名よりも、企業の組織として電子的に正当性を証明できる仕組みの方が実用的な場合がある。そのため欧州連合(EU)は「eIDAS(イーアイダス)規則」という法制度に基づいて、企業が作成した電子文書の信頼性を確保する「eシール」という仕組みがある。

eシールの仕組み
eシールの仕組み
(出所:総務省)
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