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 「(福岡県の非常事態宣言が解除された)2020年の5月中旬以降、新規客が増えている」。新型コロナウイルス禍で飲食店の多くが深刻な影響を受けるなか、飲食ベンチャーのStyle(スタイル)が運営する居酒屋チェーン「定楽屋(ていがくや)」の天神大名店(福岡市)の谷口優斗店長はこう証言する。2020年4月に導入した配膳ロボット「PEANUT(ピーナッツ)」が思わぬ効果を発揮したという。どういうことだろうか。

配膳ロボット「PEANUT(ピーナッツ)」
配膳ロボット「PEANUT(ピーナッツ)」
(写真は林田大輔、以下同)
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テーブルの配膳順を自分で判断

 定楽屋は1人3000円(税別)で食べ放題・飲み放題となる「定額制」のビジネスモデルを採用し、若い世代に支持されている(飲食代が3000円未満の場合はその分のみ支払う)。Styleは定額制に続く目玉にしようと、中国Keenon Robotics(キーンオンロボティクス)が製造し日本システムプロジェクト(JSP)が日本で販売するPEANUTの導入を決めた。

 PEANUTは胴体部分に3層のトレーを収めており、1層当たり10キログラムのものを載せられる。サイズは50×50×120センチメートルで、充電によって連続10時間稼働できる。

 StyleはこのPEANUTに「キッチンから客のテーブルに料理を運び、空いた食器類を載せてキッチンへ戻る」役割を担わせている。店員がロボット上部のタブレットを操作して3卓までの配膳先を登録。あとは配膳の順番をPEANUTが自動的に判断して運んでいく。

ロボット上部のタブレット
ロボット上部のタブレット
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 目印にするのは天井に貼ったラベル(マーカー)だ。PEANUTは上部カメラで読み込んで自分の位置を認識し、1秒当たり最高1メートルで配膳していく。走行ルート上に人がいる場合はセンサーが検知し、「すみません。通ります。ご協力ください」といった音声メッセージで警告する仕組みだ。

天井に貼ったラベル(マーカー)
天井に貼ったラベル(マーカー)
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PEANUTがテーブルに料理を運んでいる様子
PEANUTがテーブルに料理を運んでいる様子
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 テーブルまで来たPEANUTから料理を受け取ったり、食事を済ませた食器をPEANUTに載せたりするのは、客やホールスタッフが担当する。「ホールスタッフの負担が減るだけでなく、お客さまにPEANUTとの『触れ合い』を楽しんでもらえている」(谷口店長)。