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 エムエスシーソフトウェア(東京・新宿)は、有限要素法によるシミュレーションをベースにしたジェネレーティブデザインツール「MSC Apex Generative Design 2020」(米MSCソフトウェア)の供給を開始したと2020年7月8日に発表した。部品設計の際、応力がかからない部位を削除して軽量化し、形状を大きく変える「トポロジー最適化」を利用し、複数の軽量化案を得られるのが特徴のツール(図1)。新版では、得た形状を曲面で構成し直し、CADデータで利用可能にする機能を加えた。

図1 「APEX Generative Design 2020」の画面
図1 「APEX Generative Design 2020」の画面
複数の軽量化案を得られるのが特徴。(出所:エムエスシーソフトウェア)
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 MSC Apex Generative Designは、部品にかかる荷重によって生じる応力が設定値を超えない範囲で、部品を削り込んで軽量化を図るツール。応力のかからない部位を削除した上で形状を滑らかにして、部品内で狭い場所に応力が集中しないよう調整する計算を繰り返す。この計算において、「ストラット密度」と呼ぶ条件について「密」「中間」「疎」の3通りの設定でそれぞれ軽量化するため、最終的に軽量化案を少なくとも3つ得られる(図2)。

図2 計算時のオプション指定
図2 計算時のオプション指定
「ストラット密度」を「密」「中間」「疎」の3段階として、異なった設計案を得られる。ストラット密度は、空間内に細く長い形状が多いと「密」、太く短い形状が多いと「疎」になる指標。(出所:エムエスシーソフトウェア)
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 ストラット密度は、設計対象を多くの細長い形状で構成する(密)か、少数の太く短い形状で構成する(疎)かの違いを表す。加工方法に直結した設定ではないものの、「一般論としてストラット密度が高いと3Dプリンターでしか造れない形状になる可能性が高く、ストラット密度が低いと切削加工など既存の加工で造れる可能性がある」(エムエスシーソフトウェア)という。

 通常のトポロジー最適化では1回の計算で答えが1つ得られるが、MSC Apex Generative Designでは少なくとも3通りの軽量化案が得られるのに加え、「計算時に使うメモリーの量をユーザーが指定し、計算時のメッシュの細かさを変える機能があり、この機能も答えのバリエーションを広げるのに利用できる」(同社)。さらに、軽量化の計算が進む途中段階の形状が残るため、最終形よりも途中結果の方が加工の容易さなどさまざまな事情で好ましい場合は、必ずしも最終形でなく途中結果を採用でき、すなわち途中結果も軽量化案のバリエーションとみなせる。

 荷重は複数指定でき、それぞれに対しての軽量化案と、複数の荷重が同時に作用する場合の軽量化案をそれぞれ計算する。この点でも複数の軽量化案が得られる(図3)。

図3 複数の荷重について最適化を実行
図3 複数の荷重について最適化を実行
2種類の荷重を想定した場合、Apex Generative Designはどちらか片方の荷重に最適化した形状、両方の荷重がある場合に最適化した形状と、合計3つの設計案を計算する。(出所:エムエスシーソフトウェア)
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