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 ソフトバンクグループが総額4兆5000億円の資産売却を急いでいる。2020年6月に米通信大手T-Mobile US(TモバイルUS)の株式の売却を発表。これに先駆け中国アリババ集団と通信子会社ソフトバンクの一部株式も現金化・売却しており、計画の8割を達成した。次の焦点は残る2割だ。孫正義会長兼社長は、果たしてどの資産を手放すのだろうか。

2020年6月25日、株主総会に臨んだソフトバンクグループの孫正義会長兼社長
2020年6月25日、株主総会に臨んだソフトバンクグループの孫正義会長兼社長
(出所:ソフトバンクグループ)
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「お金が入ったときぐらいは言い返したい」

 ソフトバンクグループが資産売却を急ぐ狙いは財務改善にある。10兆円ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」などを通じて出資する米シェアオフィス大手WeCompany(ウィーカンパニー)の経営不振が2019年に判明。2020年に入ると新型コロナウイルスの感染拡大に伴う世界的な経済低迷により、衛星通信を手がける出資先の英OneWeb(ワンウェブ)が経営破綻するなど影響が広がった。

 ソフトバンクグループ株は2020年3月19日に年初来安値の2610円まで下げた。その4日後に孫氏が動いた。3月23日、最大4.5兆円におよぶ保有資産の売却・資金化を決めたと発表したのだ。自社株買いや負債の償還、社債の買い入れ、現預金残高に充当するとした。

 計画に基づき、5月に保有するアリババ株の一部を現金化し1兆2500億円を調達した。さらに通信子会社ソフトバンクの一部株式を3100億円分売却。6月に入るとTモバイルUSの一部株式を売却すると発表し、約2兆2000億円を手にするめどをつけた。これらにより、金額にして4.5兆円のうち3.7兆円の資金化を達成したことになる。

ソフトバンクグループは保有資産3.7兆円分を資金化した
ソフトバンクグループは保有資産3.7兆円分を資金化した
(出所:ソフトバンクグループ)
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 孫氏は6月25日の株主総会で「(保有株は)いざ売ろうとしたら暴落する、絵に描いた餅だと言われていた。お金が入ったときぐらいは言い返したい」と述べ、現金化と売却の成果を強調した。TモバイルUSに吸収合併された旧Sprint(スプリント)の買収についても「大失敗したと、何度も何度も何度もご指摘いただいたが、最終的には(売却により)価値を得た。4000億円の投下資本が7年間で5倍近くに増えた」と続けた。

 4.5兆円の資産売却計画は残り8000億円ほどだ。「あと2割、私の腹の中ではめどがたっている」。孫氏は株主総会でこう言い切った。腹案とはなんだろうか。