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 キャッシュレス化で消費者の現金利用機会が減っている。都内大手銀行では2020年4月にATMからの現金引き出しが約6割(前月比)減少したとの報道もある。7月からはマイナポイント事業の申し込みも始まり、キャッシュレス化は止まりそうにない。

 キャッシュレス化の逆風を受けそうなのが、全国に約2万5000台のATMを抱えるセブン銀行だ。しかし、意外にも同行はキャッシュレス化の浸透を「悲観していない」(深沢孝治執行役員ATMソリューション部長)という。

 というのも、キャッシュレス事業者は「競合ではなくパートナー」(セブン銀行子会社セブン・ペイメントサービスの和田哲士社長)だからだ。

ATM利用減をキャッシュレスがカバー

 セブン銀行はキャッシュレス事業者に対し、現金を使ったサービスを複数展開している。その一例が、ATMに現金を入れてキャッシュレスサービスに入金する現金チャージ機能だ。使い過ぎを防ぐため、口座連携やクレジットカード連携をせずに現金で入金したいという利用者が一定数いる。

 現金チャージは2020年4月から5月の外出自粛期間中も「利用件数が伸びた」(深沢執行役員)。ポイント還元キャンペーンの特典を受けるため、複数のキャッシュレスサービスに少額ずつ現金チャージする利用者もいた。キャッシュレスはコロナ禍でも利用増が見込める重要なチャネルというわけだ。

ATM総利用件数の推移。キャッシュレスなど「その他提携金融機関」が占める割合が増えている
ATM総利用件数の推移。キャッシュレスなど「その他提携金融機関」が占める割合が増えている
(出所:セブン銀行)
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 中期的にも、キャッシュレスはセブン銀行のATM利用件数拡大を支えている。

 提携銀行がATM手数料を有料化した影響を受け、2020年3月期下期におけるセブン銀行と提携銀行(預貯金取扱提携金融機関)のATM利用件数は同年3月期上期から約1400万件減少した。一方で、キャッシュレス事業者を含む銀行以外の利用件数は2020年3月期下期で約2900万件増と減少分を上回る。手数料有料化によるATM利用減を「キャッシュレスがカバーしている」(和田社長)。

 セブン銀行は2020年7月からPASMOのキャッシュレス・ポイント還元をセブン銀行のATMで受け取れるサービスを新たに始めた。9月には同行のATMでマイナポイント事業の申し込みをできるようにする。引き続きキャッシュレス関連の「ニーズに応え続けていく」(深沢執行役員)方針だ。