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 家庭用エアコンの国内シェアで上位3位圏外と、地味な存在の富士通ゼネラルのある商品が、大きな注目を集めている。2020年5月に発表した「Cómodo gear」。頸(けい)動脈が通る首に巻き付けることで効率的に体を冷やす、持ち運び式の冷却デバイスである。

 対象は炎天下や空調がない環境で働く建設業や工場、警備業、イベント関係などの従事者で、月額5000円でレンタルを開始したところ、7月1日までに今夏分の1000台の予約が満了したという。「うちの会社がこんなに騒がれているのは、(4年前に)山崎賢人さんをイメージキャラクターに採用したとき以来」と、広報担当者は驚きをみせる。

Cómodo gearの外観
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Cómodo gearの外観
(写真:加藤康)

「一番冷える製品を作る」

 実は近年、熱中症対策への意識の高まりから、こうした身に着ける冷却デバイスの市場が拡大しており、首元を冷やすというコンセプト自体は珍しいものではない。実際、20年7月には、ソニーが首元に装着して体を冷やす「REON POCKET」を発売している。

 首には頸動脈が通っているため、首元を冷やすのは体全体の冷却につながる。特に重要なのは脳だ。「汗腺の働きや血管の拡充をつかさどっているのが脳。首元を冷やせば脳への血流の温度が下がり、脳自体を冷やす効果がある」と、Cómodo gearの開発者であるウエアラブル事業部ビジネスアーキテクトの佐藤龍之介氏は説明する。

 同様のコンセプトの製品が手軽さにこだわっているのに対し、富士通ゼネラルが固執したのが冷却効果である。「一番冷える製品を作りたかった」(佐藤氏)。そこにはエアコンメーカーとしての矜(きょう)持がある。そのこだわりを結実するため、冷却方法は人体向けでは「世界初」となる技術を採用した。ペルチェ素子に水冷を組み合わせるやり方だ。