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 医用画像診断を支援する人工知能(AI)が日本で相次いで承認され、実用化が進んでいる。画像診断支援AIの開発を進めているのは、AIベンチャーや画像診断装置を手掛ける企業などだ。磁気共鳴画像装置(MRI)やコンピューター断層撮影装置(CT)、X線撮影装置などを販売するGEヘルスケア・ジャパンもその1社である。X線検査で肺がしぼんだ状態である「気胸」を検出するAIを日本で開発中だ。

 GEヘルスケア・ジャパンは自社で画像診断支援AIを開発するだけではなく、他社のAI開発を支援する。同社は2020年7月7日に開いた成長戦略発表会で、同社のAI開発基盤「Edison Platform」を日本のベンチャーなどに開放すると発表した。「Edison Platformを他社に開放することで、当社が1社で手掛けるより日本での画像診断支援AIの開発をスピードアップできる」とGEヘルスケア・ジャパンの大越厚エンタープライズ・デジタル・ソリューションズ本部チーフ・デジタル・ストラテジストは説明する。自社に限らず診断精度の高いAIを増やすことで、医療現場でのAI活用を進める狙いだ。

「Edison Platform」
「Edison Platform」
(出所:GEヘルスケア・ジャパン)
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 Edison Platformは疾患に応じた画像処理用のアルゴリズムや、アノテーション用の教師画像、解析の精度を検証するためのツールなどを備える。契約を結んだパートナー企業にこれらを提供する。

 特にEdison Platformで医用画像を扱えることがベンチャーにとって大きなメリットとなるという。医療機関と結びつきの薄いベンチャーが医用画像を利用するのは簡単ではない。GEヘルスケア・ジャパンは直接あるいはグループ企業を通じて世界の医療機関と契約を結び、匿名化した医用画像を収集している。「日本人のデータもそろってきており、今後さらに増やしていく」(大越チーフ・デジタル・ストラテジスト)。

GEヘルスケア・ジャパンの大越厚エンタープライズ・デジタル・ソリューションズ本部チーフ・デジタル・ストラテジスト
GEヘルスケア・ジャパンの大越厚エンタープライズ・デジタル・ソリューションズ本部チーフ・デジタル・ストラテジスト
(写真:日経クロステック)

 「画像診断支援AIの承認申請のためには、企業はどの画像をAIの精度検証に使ったのかなどを全て記録し、後から追跡できるようにしておく必要がある。Edison Platformで検証すれば、簡単にデータを追跡できるため開発効率が高い」(大越チーフ・デジタル・ストラテジスト)。

 ベンチャーなどがEdison Platformで開発したAIの販売も支援する。Edison Platformを通じて医療機関にAIを販売できるようにする予定だ。