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 ソフトバンクが国際的な「スーパーアプリ」の実現を目指そうとしている。2020年6月には各国の配車アプリと決済アプリなどを接続するサービスを展開する英国のスタートアップ、Splyt(スプリット)に出資し、主要株主となった。通信を介してあらゆる人やモノをつなぐ「ビヨンド・キャリア」戦略を推進する上で大きな鍵になりそうだ。

 ソフトバンクはスプリットへの出資を2020年6月18日に発表した。スプリットが実施した総額1950万米ドル(約21億円)の投資ラウンドを主導した。ソフトバンクの出資額は公表していない。出資と同時に、ソフトバンクはスプリットと業務提携した。

 スプリットは2015年創業で、世界各国の決済アプリや旅行予約アプリなどと、配車や空港送迎、食品の宅配などといった移動にまつわるサービスのアプリを相互接続する事業を展開する。ユーザーは海外旅行や出張の時でも普段使っているアプリを使って、配車などのサービスを利用できるメリットがある。「スプリットが提供する価値は、すべての顧客が世界のどこにいてもくつろげるようにすることだ」とフィリップ・ミンチン最高経営責任者(CEO)は話す。

グラブ、アリペイ、リフトなどと提携

 例えば中国からアラブ首長国連邦のドバイに出張した人は、中国の大手旅行予約サイトの携程旅行網(トリップドットコム)のアプリ画面から、中東の配車サービス大手Careem(カリーム)に加入するドライバーの車を手配できる。自分でカリームのアプリをスマホにダウンロードする必要はない。

 これら2社以外にもシンガポールの配車大手で決済事業も営むGrab(グラブ)や中国アリババグループのスマホ決済「支利宝(アリペイ)」、オランダの旅行予約のBooking.com(ブッキング・ドット・コム)、米配車大手Lyft(リフト)、日本交通系のタクシー配車アプリ国内最大手ジャパンタクシーなど30を超えるサービス事業者と連携する。同社のネットワークは150カ国2000都市の配車などの移動サービスにまたがる。

英スプリットの事業イメージ。決済アプリや旅行アプリと移動サービスのアプリを接続する
英スプリットの事業イメージ。決済アプリや旅行アプリと移動サービスのアプリを接続する
(出所:ソフトバンク)
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 ミンチンCEOは同社の創業メンバーの1人だ。もともとロンドンで配車サービスを起業しようと思っていたが、英国は配車サービスに対する規制が厳しく断念した。そこで世界各国の配車アプリや決済アプリを連携させることで、グローバルな配車ネットワークを実現するアイデアを思いついた。提携した企業にはグローバル配車ネットワーク実現のためのSDK(ソフトウエア開発キット)やAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を提供する。