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 いよいよ東芝がLiDAR向け半導体製品の実用化を狙う。2020年7月、機構部品を利用する従来の「メカ型」から、同部品を利用しない「メカレス型」まで、さまざまなLiDARに利用できる受光技術を採用した半導体製品を2022年度(2023年3月)までに実用化するという目標を掲げた。これまで学会では発表してきたものの、実用化やその時期について明言を避けていた。ここにきて実用化時期の目標を明らかにしたのは、自動運転車向けメカレスLiDARを実現できる独自の受光技術を確立したことによる。7万ルクス(lx)という明るい太陽光下で200mの遠方測距を可能とし、かつ水平300×垂直80画素と業界最多水準の画素数で距離画像を取得できる。東芝はこの受光技術を武器に、競争が激しいLiDAR市場に切り込む。

東芝の受光技術を利用した、200mの測距が可能なLiDARの試作機。左側の透明な箱に入っているのが、発振波長905nmのレーザー素子と同素子から出射する光を走査するガルバノミラーで構成した投光系。右側が受光系である。垂直、水平共に視野角が7度のCマウントのレンズを利用した。
東芝の受光技術を利用した、200mの測距が可能なLiDARの試作機。左側の透明な箱に入っているのが、発振波長905nmのレーザー素子と同素子から出射する光を走査するガルバノミラーで構成した投光系。右側が受光系である。垂直、水平共に視野角が7度のCマウントのレンズを利用した。
(出典:東芝)
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LiDAR市場は24年に60億米ドル

 東芝は、自動運転機能が高度になるにつれてLiDARの搭載数が増えるとみる。例えば、レベル4の自動運転車では、カメラが1~2個、レーダーが6個のほか、6個のLiDARが搭載されるとみている。その内訳は、周囲の状況を認識するために近距離用を4個、後方用に中距離用を1個、前方用に遠距離用を1個としている。レベル4の自動運転車ではないものの、トヨタ自動車が2020年初冬に部分改良して発売する新型「レクサスLS」では、近距離の周囲監視用途にメカレスLiDARを4個搭載している。

東芝は、例えばレベル4の自動運転車では、カメラが1~2個、レーダーが6個のほか、6個のLiDARが搭載されるとみている
東芝は、例えばレベル4の自動運転車では、カメラが1~2個、レーダーが6個のほか、6個のLiDARが搭載されるとみている
(出典:東芝)
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 こうした背景から、東芝はLiDARの搭載が急増するのは2024年ごろと予測しており、その頃に低コスト化と小型化に向くメカレス型がLiDARの主流になるとみている。同社は、フランスYole Développementが2019年4月に発表した調査結果を引用し、LiDAR市場は2018年の13億米ドル(1391億円、1米ドル=107円換算)から2024年に60億米ドル(6420億円、同)に達するとみる。この急成長の波に乗るために、22年度中の実用化が必要だと判断して目標に掲げた。