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 スイスのビジネススクールIMDが2020年6月16日に発表した「2020年版世界競争力ランキング」。調査対象となった63の国・地域のうち、日本は34位と過去最低を更新した。1位はシンガポール、2位はデンマーク、3位はスイスだった。

 同ランキングは1989年から毎年発表されている。日本は1989年から1992年まで総合1位だったが、「失われた30年」を象徴するかのように、徐々に順位を落としている。

「ビジネスの効率性」が足を引っ張る

 世界競争力ランキングは、「企業が持続的に価値創造できる環境をその国・地域がどの程度育むことができているか」を示したものだ。主に「インフラストラクチャー」「経済パフォーマンス」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」の4種類の要素からなる。

IMD世界競争力ランキングにおける日本の総合順位と4種類の因子
IMD世界競争力ランキングにおける日本の総合順位と4種類の因子
出所:IMD世界競争力センター。図表デザインは「DBIC Vision Paper」より
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 これら要素のうち「34位となった主因は、ビジネスの効率性に対する評価の低さだ」と高津尚志・IMD北東アジア代表は分析する。2020年の「ビジネスの効率性」の評価は55位だった。総合順位が30位だった2019年も「ビジネスの効率性」が46位と足を引っ張った経緯があり、2020年はさらに大きく下がった。

 世界競争力ランキングの算出には約300の指標が使われる。指標のうち、3分の2は各国政府や国際機関などが公表する統計数値である「ハードデータ」だ。残りの3分の1は各国・地域に住んでいるか、住んだことのある経営者や上級管理職などのビジネスリーダーにアンケート調査を実施して認識を問う「サーベイデータ」である。

 後者の回答者には日本人も日本に住む外国人もいる。「スイスの専門家が各国を一方的に評価していると誤解されがちだが、日本については日本経済のインサイダーの回答を基にしている」(高津代表)。

 「ビジネスの効率性」は約60の指標からなり、サーベイデータが3分の2を占める。高津代表によると「サーベイデータの評価がこの5~6年で急降下している」。2020年は「企業の俊敏性」やマネジャーの「起業家精神」の項目は63の国・地域のうち63位で、「企業の俊敏性」の回答値は10点満点中3.32だった。

 この値は経済が破綻状態にある南米ベネズエラや、デフォルト(債務不履行)状態に陥った南米アルゼンチンより低い。国の文化が外国からのアイデアに開放的かを問う「国の文化」や「大企業の効率性」は62位、市場の変化に対する「企業の感度」は60位だった。

「ビジネスの効率性」の各項目の回答値 
「ビジネスの効率性」の各項目の回答値 
出所:IMD世界競争力センター
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 高津代表は「客観的に見て、日本企業の俊敏性やマネジャーの起業家精神が他の62の国・地域より低いかどうかは疑問」としつつも、「日本の回答者が10点満点で3~4点の低い点数をつけたことも事実だ」と話す。「自信喪失や疲れ、焦り、諦め、自嘲など様々な感情が想像できる。望ましい姿と現実の差を強く意識していることがうかがえる」(同)という。