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 トヨタ自動車はMaaS(Mobility as a Service)向け自動運転EV(電気自動車)「e-Palette」に、富士電機の鉄道用ドア開閉システムを採用した。クルマのドアの開閉に鉄道用のシステムを使うのは、今回が初めてとみられる。今後MaaS向け自動運転車には、鉄道用ドア開閉システムが使われる可能性が大きい。クルマのドア開閉システムを手掛けるメーカーにとって、強力なライバルが登場した。なぜトヨタはe-Paletteに鉄道用ドア開閉システムを採用したのか。その狙いを探る。

 e-Paletteは、人の移動や物流、物販などの様々な移動サービスに対応する自動運転車である。車両の周囲を監視するセンサーとして単眼カメラやLIDAR(レーザースキャナー)などを搭載し、高精度の3次元(3D)地図も使う。

 同車の車両寸法は全長5255×全幅2065×全高2760mmで、ホイールベースは4000 mm。定員は20人である。ホイールベースを長く、ドアの開口部を広くしたことで、多くの乗員が乗り降りしやすく、大きな荷物を積み下ろししやすくした。また、最大4人の車椅子利用者が利用できる(図1)。

e-Palette
図1 トヨタのMaaS向け自動運転EV「e-Palette」
耐久性や安全性などを重視して、鉄道車両用のドア開閉システムを採用した。同システムは富士電機が提供した。写真の出所はe-Palette(下)がトヨタ自動車、ドア開閉システム(上)が富士電機。
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 e-Palette実用化の第1弾は、2021年7~8月に開催予定の「東京オリンピック・パラリンピック(東京オリパラ)」である。同大会にe-Paletteを十数台提供し、選手村内を巡回する自動運転EVバスとして、選手や大会関係者の移動を担う注1)

注1)e-PaletteはSAE(米自動車技術会)が定める「レベル4」相当の自動運転を行い、19km/h以下の低速で走行する。加減速や操舵(そうだ)など全ての操作はシステムが行うが、システムの異常発生時などには車両に同乗する担当者が手動で車両を停止させる。

 トヨタが実現を目指すコネクテッドシティー「Woven City(ウーブン・シティー)」でも、e-Paletteの利用を想定する。街に整備する道路を3種類に分類し、e-Paletteなどの自動運転車だけが走行する車両専用の道路を設ける。