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 新型コロナウイルス収束のめどが見えない中、企業は新常態への適応を迫られている。さまざまな業務をオンラインで遂行できる環境が整いつつあり、新卒社員向け研修をオンラインで実施する企業も目立った。

 では、オンライン研修の成果はどうだったのか。新卒研修をフルオンラインで実施した凸版印刷が検証結果を明らかにした。

知識定着度は過去最高も技能習得に壁

 凸版印刷は2020年4月1日から5月15日までの計27日間、グループ会社を含む417人を対象にオンライン研修を実施した。研修プログラムは「Toppan Spirit(企業理念等)」「Toppan Sense(感性)」「Toppan Knowledge(知識)」「Toppan Skill(技能)」といったカテゴリーに分かれている。

 同社がカテゴリーごとの習得達成度について受講者にアンケートしたところ、「十分身についた」「身についた」と回答した受講者数はToppan Spirit(企業理念等)が前年度比2ポイント増の97%、Toppan Knowledge(知識)が同4ポイント増の93%だった。反対にToppan Sense(感性)は同9ポイント減の87%、Toppan Skill(技能)は同6ポイント減の74%となった。前年度まではすべてオフラインの集合研修だった。

研修プログラムのカテゴリーごとの習得達成度
研修プログラムのカテゴリーごとの習得達成度
(凸版印刷の資料を基に日経クロステック作成)
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 同社人事労政本部人財開発センターの巽庸一朗センター長はポイントが低下した要因について、Toppan Sense(感性)は例年の目玉である「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」と呼ぶ暗闇の中でコミュニケーションを取る独自プログラムを実施できなかった点、Toppan Skill(技能)は名刺交換などビジネススキルを実地で習得できなかった点が、それぞれ影響したとみている。ただ、同社のVR(仮想現実)技術を使えば「技能習得もオンラインでカバーできる見込みだ」と話す。

 さらに顕著な変化が見られたのが、研修全体の習得度を評価する「Toppan Meter」において知識定着のために実施した「総括アセスメント」テストの得点だ。2020年度の最終スコア(平均)は95.9と過去最高を記録した。巽センター長はこの要因について、「動画や音声付きスライドで実施した講義を受講者の76%が復習のために見直しており、例年より記憶定着が図られたと考えている。オンライン研修のメリットだ」とする。

知識定着のために実施した「総括アセスメント」テストの最終スコアは過去最高を記録した。記述問題を織り交ぜた現在より高得点が出やすかった選択式の2016年度以前と比較しても過去最高となっている
知識定着のために実施した「総括アセスメント」テストの最終スコアは過去最高を記録した。記述問題を織り交ぜた現在より高得点が出やすかった選択式の2016年度以前と比較しても過去最高となっている
(凸版印刷の資料を基に日経クロステック作成)
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