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 米国で政権交代の可能性が高まっている。共和党のトランプ政権から民主党のバイデン政権に変わると、米国自動車産業はどう変わるのか。トランプ政権が環境規制をことごとく見直したことから、かつて「電動車は終わる」と論じた三菱UFJモルガン・スタンレー証券の杉本浩一氏に、「アフタートランプ」の見通しを聞いた。

ピックアップトラックには逆風か(出所:Ford Motor)
ピックアップトラックには逆風か(出所:Ford Motor)
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 米CNNによる世論調査(2020年7月22日発表)で、バイデン候補の支持率が52%に達し、トランプ氏は同40%と大差がついた。杉本氏は、「世論調査を見る限り、素直に考えれば、トランプ大統領が勝つ理由はない」と読み解く。

 前回選挙では、民主党のヒラリー・クリントン氏が選挙前の世論調査でトランプ氏を上回っていたが、最終的に負けた。今回も覆る可能性はある。それでも杉本氏は、「政権交代を十分に想定し、日系自動車メーカーは備えたほうがよい」とみる。自動車開発に大きく影響する環境規制の方向性が大きく変わる可能性があるからだ。振れ幅が大きく、準備は早いほうがいい。

 トランプ政権誕生後、自動車環境規制において、米国は世界の潮流とかけ離れた特殊な国となった。米国以外の地域が環境規制を厳しくする中で、トランプ政権はオバマ前政権が導入した環境政策をことごとくひっくり返してきた。自動車メーカーにとって、コストのかかる電動化を進める必要がなく、ある意味で「楽園」といえる状況だった。

 バイデン氏が米大統領に就任すれば、杉本氏は「オバマ路線に戻り、電気自動車(EV)を重視し、環境規制を強める方向に向かうのは確実」と分析する。「電動車の終わり」といえるほどに大型エンジン車を優遇したトランプ政権路線から、逆回転することを意味する。