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 政府は、新型コロナウイルスの感染拡大防止策として導入した接触確認アプリ「COCOA」の本格的な普及にようやく乗り出す。IT政策を担当する平将明内閣府副大臣は記者団とのインタビューで、2020年8月から全国でCMを放映するほか、民間企業との連携や協力要請を広げることで、同月から本格的にアプリの普及啓蒙活動に取り組む方針を説明した。

アプリの普及策を語った平将明内閣府副大臣
アプリの普及策を語った平将明内閣府副大臣
(撮影:日経クロステック)
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 平副大臣が指摘したアプリを巡るプラス材料は、COCOAのダウンロード数が2020年7月31日午後5時時点で995万件に達するなど着実に伸びている点と、接触確認アプリの普及率が2割や4割などでも一定の効果を上げるとした研究データが示された点だ。平副大臣は「いろいろ言われているが意外に多くダウンロードされている。導入効果も普及に伴って着実に出ていく」と今後を肯定的に捉えている。

 一方で効果を上げるうえでの課題もある。陽性判定を受けた新型コロナ感染者がCOCOAに報告する件数が陽性者全体の1パーセントにも満たない点だ。政府はCOCOA利用者の行動をどう変えていこうとしているのか。

普及率4割で感染者半減、2割でも「効果あり」

 平副大臣が「大変ありがたいシミュレーション結果だ」として触れたのが、日本大学生産工学部が2020年7月28日に発表した、接触確認アプリの導入効果をシミュレーションした研究成果である。それによれば、アプリの利用率(普及率)が4割でも利用者の行動によっては感染者数を半減させる効果がある。普及率2割では半減までは届かないものの、やはり利用者の行動によって感染者数を3分の2まで減らせる条件があるという。

日本大学生産工学部がモデル化したアプリの導入効果。普及率だけでなく、通知を受け取った人の行動によって効果が大きく変わるという
日本大学生産工学部がモデル化したアプリの導入効果。普及率だけでなく、通知を受け取った人の行動によって効果が大きく変わるという
(出所:日本大学)
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 日大の研究では、学生や会社員など様々な職業属性をモデル化した1000人が1カ月を過ごす社会行動をモデル化した。最初に感染者が10人存在すると仮定し、アプリの普及率と、濃厚接触の疑いがあると通知を受けた利用者が外出をどの程度自粛するかの割合をそれぞれ変えながら、1カ月後の感染者数をシミュレーションした。

 結果によると、アプリ普及率が4割でも、通知を受けた利用者が外出を4割減らすと感染者数を半減させる効果が出る。普及率2割では外出を8割減らすと感染者数を3分の2に抑制できる。アプリの普及率に加えて、利用者が通知を受けた際にどのような行動を取るかが重要だという点を指摘した研究と言える。