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 慶応義塾大学病院産科は、2020年6月から妊婦健診を原則オンライン化した。来院の必要がある血液検査や超音波検査、妊娠後期など以外の妊婦健診や助産師による指導を、ビデオ通話などを活用しオンラインで実施。新型コロナウイルス感染症対策を契機に始めたオンライン妊婦健診だが、妊婦にとっても医療従事者にとってもメリットがあることが見えてきた。同病院では、コロナ後も継続する予定だ。

 一般に、妊婦健診は妊娠初期は4週間に1回、中期は2週間に1回、後期は1週間に1回受診する。問診や診察による健康状態の把握、血液検査や超音波検査などの検査、保健指導などがある。慶応大病院産科では、このうち問診や保健指導などをビデオ通話を活用してオンラインで実施している。

妊婦の7~8割がPHRアプリを利用

 オンライン化に踏み切ったのは、新型コロナウイルス感染症対策のためだ。「妊婦の感染リスクを減らすのが一番の目的だ」と慶応義塾大学医学部産婦人科学教室の田中守教授は言う。妊婦健診では定期的に来院する必要があるが、同病院に通院する妊婦の中には、高齢だったり基礎疾患を持っていたりするなどリスクの高い人も少なくない。感染者が急増していたニューヨークにあるコロンビア大学の産婦人科の医師から、対策として「まず遠隔妊婦健診を取り入れた」と聞いた田中教授は、慶応大病院でもオンライン化に踏み切ることにした。

 当初は電話を使って健診をしていたが、6月からはビデオ通話を使ったオンライン妊婦健診を始めた。オンラインにスムーズに移行できたわけは、同病院に通院する妊婦のほぼ100%が利用するPHR(パーソナルヘルスレコード)アプリのおかげだ。

医師は、MeDaCaを使ったビデオ通話用のパソコン(左側)と、電子カルテ端末を並べてオンライン妊婦健診を行う
医師は、MeDaCaを使ったビデオ通話用のパソコン(左側)と、電子カルテ端末を並べてオンライン妊婦健診を行う
(出所:慶応義塾大学病院)
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 オンライン妊婦健診は、スマートフォンのPHRアプリ「MeDaCa(メダカ)」のビデオ通話機能を利用する。慶応大病院産科では、MeDaCaを利用して胎児の超音波画像や検査結果、処方箋の控えなどを送信し、妊婦がスマートフォンで閲覧できるサービスを2018年10月に導入した。妊婦は無料で使える。医師はウェブアプリからアクセスし、検査結果などを送信する。これまで紙に印刷して手渡していた超音波画像をデータで受け取れる点が人気で、普及した。