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 SCSKが高度IT人材の確保に本腰を入れる。高い専門性を持つ人材を年俸3000万円で登用する人事制度を2020年7月に導入した。既存の枠組みを超える高度な能力を持つ人材を「ADV職掌」と定義し、ITエンジニアを中心に社内外で公募する。2020年度内に数人に適用する見通しだ。高度人材向けに厚待遇の職掌を設けることで、デジタルトランスフォーメーション(DX)分野の事業化を推進する人材の獲得やつなぎ留めを狙う。

「えげつなく引き抜かれている」

 ADV職掌のADVは「アドバンスド」の略。人工知能(AI)やクラウド、セキュリティー、カスタマーエクスペリエンス(CX)、MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)、金融系プラットフォームなどの領域において、高い専門知識や技術力、社内外への影響力を持つ人材を登用する。SCSK人事・総務グループの和南城由修人事部長は「重点的に登用する領域はこれから詰めていくが、当社のDX分野の事業化に向けた戦略とひも付く形になる」と説明する。

 DXの進展に伴い、高度IT人材の獲得競争は激しさを増している。SCSKでは全体の離職率を低い水準に維持しているが、個別に見ると優秀な人材や伸び盛りの人材が辞めてしまうケースが増えているという。和南城部長は「クラウド技術者などが外資ITベンダーやコンサルティング会社にえげつなく引き抜かれている」と打ち明ける。最近はユーザー企業からの引き抜きも増えている。「彼らは結構な金額を提示して応募をかけているので、我々としても歯がゆい思いをしてきた」(同)。

 こうした争奪戦において反転攻勢をかけるべく、導入したのがADV職掌だ。賞与を含めた年俸の上限は3000万円を目安とするが、人材によってはそれ以上の報酬も検討する。まず2020年8月後半から9月頭にかけて社内で公募を実施。各部門が推薦する人材から選抜して登用する。順調に進めば、11月ごろには適用第1号が生まれる見通しだ。さらに準備が整い次第、外部からの登用も始める。和南城部長は「(外部登用は)採用方法の枠組みを整理している段階なのでもう少し時間がかかるが、2020年度中には第1号を出したい」と意気込む。

 ADV職掌では、同じ領域の技術者全体のステータスを引き上げる活動をしていたり、業界全体の技術をけん引するような影響力を持っていたりする人材の登用を想定している。雇用形態は基本的に正社員とする。人事権はそれぞれの所属部門が持つが、ADV職掌の認定や処遇は、社内の部門長や役員で構成する「人事制度委員会」で決定する。委員会が人材ごとに「最大3年」の区切りで認定やベースラインの年俸を見直すほか、年度ごとに目標の達成度や事業への貢献度合いなどに基づいて賞与を決める仕組みだ。