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 台湾Delta Electronics(デルタ電子)日本法人と出光興産は2020年8月8日、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)向けの充電ステーションを横浜市に開設した(図1、2)。充電の待ち時間を有効に使う工夫を盛り込み、利用者と運営者の双方が得をする仕組みをつくる。実証店舗として3年かけて優位性を確かめ、横浜市以外への展開を検討していく。先端技術を組み合わせたIT(情報技術)都市「スマートシティー」への技術供給も視野に入れる。

図1 デルタ電子日本法人と出光興産が手掛ける電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)向け充電ステーションの外観
図1 デルタ電子日本法人と出光興産が手掛ける電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)向け充電ステーションの外観
(撮影:日経クロステック)
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図2 EV充電設備は計4台(急速充電器3台、充放電器1台)
図2 EV充電設備は計4台(急速充電器3台、充放電器1台)
(撮影:日経クロステック)
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 同ステーションは「スマートな利用」をコンセプトに掲げる。急速充電30分の料金は700円に設定。専用スマートフォン(スマホ)アプリで電子決済すると「コーヒー1杯無料」といったクーポンをアプリ上で入手できる。同クーポンは併設するデルタ電子ブランドのカフェで使える。

 充電の待ち時間をカフェでお得に過ごせる利点を打ち出し、次回以降も使ってもらえるように訴求する。ステーションの稼働率を高められ運営者側も収益を確保しやすい。

 所在地は横浜市中区山下町。横浜高速鉄道みなとみらい線の日本大通り駅から徒歩2~3分の場所に位置する。900m2の敷地内に6カ所の駐車場、4台のEV充電器を設置。出光の給油所跡地を活用し、デルタ電子が機器を全面的に供給して実現した。

 例えば、出力25kWのDC(直流)急速充電器をはじめ、充放電器、容量約50kWhのリチウムイオン蓄電池、制御システム機器、通信系機器など、同ステーションはデルタ電子が手掛ける幅広い製品群で成り立つ。

 これらの機器を組み合わせて制御する。EVの充電状況を監視したり、需要に応じて蓄電池から電力を融通して効率的に運用したりする。施設全体の照明やエアコンなどを一括管理して電力負荷を平準化。災害による停電発生時の拠点施設としても使う。

充電器を体積1/10に

 急速充電器は、デルタ電子が開発した小型かつ安価なモデルを採用している。日本の充電規格「CHAdeMO」と欧米勢が推す「Combined Charging System(CCS)」の両規格に対応。出力はあえて25kWとした。現在、日本での主流は50kWだが、設置のためにはおよそ駐車場1台分の空間が必要となる。デルタ電子の急速充電器は全長230×全幅680×全高430mmで、同社従来品に比べて体積を1/10以下に抑えている。搭載していた変圧器を出力12.5kWのパワーモジュール2個に置き換えて小型化に成功した。

 同急速充電器は質量47kgの壁掛け式だ。コンクリート製の基礎を必ずしも必要としないため、設置費用を抑えながら短い工期で導入できる。既存の給油所や駐車場に設置しやすい。「50kWの充電器1台よりも、25kWを2台設置した方が工事費用を含めた全体のコストを下げられる」(デルタ電子)という。