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 「興味があるという相手も現れたので、一部または全部を売却することも選択肢として検討を開始している。もう1つの選択肢は来年か再来年の上場だ。相手との交渉もあるので、両方をにらみながら粛々と交渉を続けている」。

 ソフトバンクグループ(SBG)が2020年8月11日に開催した、2020年4~6月期の連結決算(国際会計基準)に関する会見。孫正義会長兼社長がこう述べたのは、傘下の英半導体設計大手Arm(アーム)の先行きについてだ。

「本業はArmです」から4年で何が

 Armを巡っては、今回の決算発表に先駆けて米半導体大手NVIDIA(エヌビディア)などとの交渉が報じられていた。孫会長は交渉相手についてノーコメントとしたものの、公の場で初めて売却の可能性を示した形だ。

「Armの1部または全部の売却も選択肢の1つ」と述べるソフトバンクグループの孫正義会長兼社長
「Armの1部または全部の売却も選択肢の1つ」と述べるソフトバンクグループの孫正義会長兼社長
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 これまでSBG孫会長はArmについて、「うちは情報革命屋さんだ」との理念を象徴する中核企業と位置付けてきた。Arm買収発表から間もない2016年7月28日の決算会見では、Armの成長を通じて「ソフトバンクグループは総合インターネットカンパニーとして、総合的なエコシステムを持ち、プラットフォームを持つことになる」と宣言している。さらに「今から5年後、10年後、20年後、『ソフトバンクグループが何の会社か?』と聞かれたら、『本業はArmです』と多くの人が思うぐらいの存在感になる」とぶち上げてもいる。

 加えてArmは、SBGが投資会社としての色彩を強める呼び水になった面もある。「投資に巨額を投じるところに新たなカネや情報が集まり、それが次の投資機会を生み出す。SBGがそんな“渦”の中心に躍り出る転機になったのがArm買収だった」と、ある大手証券アナリストは話す。買収に3兆3000億円という巨費を投じたことが、かえってその後の潤沢な資金の調達につながったとの見方だ。