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 「プリント倶楽部(プリクラ)」で一世を風靡したセガが2020年7月、約20年ぶりにプリントシール機に再参入すると発表した(図1)。スマートフォンで「自撮り」してシェアする時代に、なぜプリクラか。他社機比で2.5倍明るい照明や大型ディスプレーなどを搭載し、スマホには難しい「特別な撮影場所」を提供する。記念日需要を取り込み、ゲーム施設への女性客の来店を促す。

図1 スマホで実現しにくい特別感で勝負
図1 スマホで実現しにくい特別感で勝負
プリントシール機「fiz(フィズ)」の外観(出所:セガ)
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 セガは20年秋に、プリントシール機「fiz(フィズ)」を発売する。利用価格は400円に抑えた。同社グループは1995年にプリントシール機を世界で初めて生み出した老舗である。しかし市場縮小とともに2000年頃に撤退した。

 再参入の理由は何か。その1つがプリントシール機市場が、今でも無視できない規模で存在していることだ。社会現象にまでなった1997年度の約1000億円をピークに減少し、2018年度に約239億円まで沈んだ。一方でここ数年は横ばいで落ち込んでおらず、他のゲーム機と比べて遜色ない水準という。

 セガは、プリントシール機市場が踏みとどまる理由として、特別な日の記録を残すために「スマホと異なる撮影需要がある」と分析する。新型機をスマホでは体験できない特別感のある場所にできれば、わざわざ撮影しに来てもらえると考えた。

 特別感の実現にセガが工夫を凝らしたのが、競合他社より2.5倍明るい照明や、撮影した写真を映して落書きするための大型ディスプレーを設置したことだ。“日常”のスマホでは実現しにくい“非日常”を生み出す。

 加えて、スマホでは“普通”と言える流行に合わせて女性の顔を「盛る」画像処理機能や、短時間の「盛り」動画撮影機能なども搭載する。もちろん写真データは印刷することに加えて、簡単にスマホに送れる。

 「プリントシール機があると女性が施設に訪れるきっかけになりやすい。この製品を皮切りに他のゲームで遊んでもらいたい」(セガプロダクト研究開発部クリエイティブ開発セクションプロデューサーの有川尚毅氏)。セガ代表取締役社長COOの杉野行雄氏は「プリクラ復活」に期待して、開発者らに「セガらしいプリントシール機を開発し、若者たちに届けてほしい」と声をかけたという。