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 石川県加賀市は2020年8月12日、スマートフォンだけで手続きが完結できるオンライン行政手続きサービスを同日に始めたと発表した。専用のスマホアプリで本人認証と電子署名を可能にして、対面での本人確認や書類への押印を不要にする。まず人間ドックの助成金申請の手続きから開始し、2021年3月末までに「市民のニーズが高い50~60の手続きを順次オンライン化する」(宮元陸市長)計画だ。

行政向けIDアプリ「xID」の画面。パソコンなど別端末での申請フォーム入力時でも、スマホを本人確認手段として利用できる
行政向けIDアプリ「xID」の画面。パソコンなど別端末での申請フォーム入力時でも、スマホを本人確認手段として利用できる
(出所:xID)
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 核となるスマホの技術には、行政の電子化で先を行くエストニアで実績があるものを採用した。ベンチャー企業xIDが開発した行政向けID技術「xID」だ。同社はエストニアに開発拠点を持ち、同国で運用実績があるという。初回の登録時だけ日本の「マイナンバーカード」やエストニアの国民IDカードである「eIDカード」が必要だが、手続きに使う際はカードをスマホなどにかざす必要はない。

 政府はキャッシュレス決済と連携した「マイナポイント」付与などで、マイナンバーカードの普及に力を入れている。スマホとの組み合わせは、新型コロナウイルス対策で露呈した行政デジタル化の遅れを挽回する手段になるのか。

自治体主導ならデータ連携が可能に

 スマホアプリなど民間が運用するIDを用いた行政手続きは「今回の加賀市が日本初」(xIDの日下光社長)だという。2019年12月に施行された「改正デジタル手続法(情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律)」では、書面を原則としていた多くの行政手続きを法改正なしでオンライン申請も可能となるよう現行法を読み替えられるようにした。これにより今回のサービスが実現したという。

 利用者は初回のID作成時に、専用アプリを搭載したスマホにマイナンバーカードをかざしてマイナンバーの情報を読み取らせ、本人を認証する。この作業でマイナンバーカードに相当する機能をスマホアプリに持たせることができる。本人認証機能のほか、押印やサインに相当する電子署名、氏名や住所など基本4情報を自動入力する機能である。本人認証と電子署名は独立に利用でき、PINコードを打ち込むほかスマホの生体認証を使ってより簡単に手続きできる。

 行政オンライン化を進めるため、加賀市は申請手続きフォームの作成・運用を容易にする民間クラウドサービスも採用した。トラストバンクが運用する「LoGoフォーム電子申請」である。xIDとトラストバンクが両者のサービスを連携させることで、申請フォーム上で氏名や住所を自動入力できるようにした。xIDと連動して、スマホ側で本人確認や電子署名なども可能だ。

行政手続きのオンライン化を発表した加賀市の宮元陸市長(左上)とxIDの日下光社長(下)、トラストバンクの川村憲一社長(右上)
行政手続きのオンライン化を発表した加賀市の宮元陸市長(左上)とxIDの日下光社長(下)、トラストバンクの川村憲一社長(右上)
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