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 三菱UFJ銀行が紙の書類を電子化するため、米スタートアップのAI(人工知能)ロボットを導入する。まず3億枚以上の印鑑票を対象に、ホチキスの取り外しからデータ化までの一連の作業を効率化する。銀行では大量の紙の書類がデジタルトランスフォーメーション(DX)を阻む壁になっているが、その解決の糸口をAIロボットに見いだした。

 新たに導入するのは、米Ripcord(リップコード)が開発したAIロボット。同社は米シリコンバレーの新興企業で、米Apple(アップル)の共同創業者であるスティーブ・ウォズニアック氏や米Google Ventures(グーグル・ベンチャーズ)など有力投資家が支援している。

 三菱UFJ銀行はRipcordの機器を米国から日本に持ち込み、行内で保管する大量の紙の書類を電子化する。導入台数は15~20台になりそうだ。Ripcordに対しては、スキャンした紙の枚数に応じて料金を支払う契約だ。電子化の第1弾は顧客の届け出印の印影や口座番号、名前、住所などを記載した「印鑑票」で、2021年上期から電子化の作業を始める予定だ。

 狙いは「現物(紙の資料)に縛られない事務フローを実現する」(佐藤宏俊デジタル企画部調査役)ことにある。例えば印鑑票であれば、営業店に設置した専用端末で見られる情報は限られる。関連書類などを確認するためには、現物を保管している倉庫に連絡する必要があり、顧客を待たせるケースがあった。

 過去に三菱UFJ銀行でも紙の書類の電子化に取り組んだことはあったが、うまくいかなかった。電子化を阻む壁の1つになったのが、ホチキス留めの取り外しだ。「ホチキス留めの取り外しは人でないとできず、強く留めたホチキスが取れなかったり、紙が破れてしまったりした」(佐藤調査役)

三菱UFJ銀行が導入する米Ripcordの機器
三菱UFJ銀行が導入する米Ripcordの機器
(出所:三菱UFJフィナンシャル・グループ)
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