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 「工場や倉庫間を無人けん引車でつなぎ物流効率を飛躍的に向上する」――。こう意気込むのはロボット開発スタートアップZMP(東京・文京)代表取締役社長の谷口恒氏。同社は2020年12月、可搬質量2.5トンの電動無人けん引車を市場投入する(図1、2)。既に販売中のAGV(自動搬送車)や無人フォークリフトとの連携を想定。物流現場の人手不足、および新型コロナウイルス感染拡大の影響による省人化需要を取り込む。

図1 ZMPが開発した可搬質量2.5トンの電動無人けん引車「CarriRo Tractor 2.5T」
図1 ZMPが開発した可搬質量2.5トンの電動無人けん引車「CarriRo Tractor 2.5T」
(撮影:日経クロステック)
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図2 調達した海外メーカー製の車両にZMPの自動運転技術を搭載
図2 調達した海外メーカー製の車両にZMPの自動運転技術を搭載
(撮影:日経クロステック)
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 ロボット開発で2001年に創業したZMPは、2008年に自動運転分野に参入し、その技術を転用して物流分野の事業強化を進めている。AGV「CarriRo(キャリロ)」を皮切りに、無人フォーク「CarriRo Fork(キャリロフォーク)」を相次いで市場に投入。これらの車両をクラウド上で連携して現場の負荷を軽減する仕組みを提供する。

 ただ、物流分野の製品群は、主に工場や倉庫といった建屋内での活用を想定したもの。今回、屋外で使える無人けん引車を加えることで、同一敷地内に複数の建屋を構える事業者の物流効率の向上を可能にする。例えば、有人フォークを使い4回往復して運んでいたパレットは、無人けん引車と連結すれば1回で運べる。谷口社長は「同車両の投入でサービスをより広域化して、顧客の運用コストの削減に一層貢献したい」と話す。

 海外メーカー製の電動けん引車にZMPの自動運転技術を搭載して無人けん引車を開発した。同車両は全長1800×全幅1080×全高1480mmで、車両質量は700kg。無人走行と有人走行を切り替えられ、無人走行中は0.6~2.5km/h、有人走行中は0.6~3.2km/hの速度が出せる。価格は5年間のリース契約で月額15.2万円(税別)である。

磁気で走行経路を補正

 同車両の特徴は、目標地点に対して誤差プラスマイナス5mm以内という高い精度で停止できること。AGVで一般的な方式といえば敷設した磁気ラインを認識しながら走るというものだが、ZMPの無人けん引車は慣性誘導と呼ぶ方式を採用している。

 スタート地点からの移動距離を計算し、登録した地図と経路の情報と照らし合わせて設定通りの道を進む。車両の内部にジャイロセンサーと加速度センサー、モーターの回転速度などを検出するためのエンコーダーを搭載し、各装置から得られる情報を組み合わせて自動走行する。