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 新型コロナウイルス対策でLINEが行政に協力する形で存在感を強めている。

 2020年8月12日から13日にかけて、厚生労働省に協力して、約8440万人の「LINE」アプリのユーザーを対象に、第5回「新型コロナ対策のための全国調査」を実施し、約1540万人の回答を得た。回答率は18.2パーセントだった。

厚生労働省がLINEの協力を得て実施した第5回「新型コロナ対策のための全国調査」の画面
厚生労働省がLINEの協力を得て実施した第5回「新型コロナ対策のための全国調査」の画面
(出所:LINE)
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 厚労省は2020年8月21日、第5回全国調査の分析結果を同省のWebサイトで公表。「接待を伴う飲食提供は、伴わない場合と比較して、おおむね感染予防行動の実施が難しい」などを指摘した。

  LINEは厚労省の全国調査を2020年3月末から5月初旬にかけて立て続けに4回実施している。この調査はLINEアプリになかった機能であり、「1週間ほどで一から開発した」とLINEの江口清貴執行役員は振り返る。

 開発に当たったチームは20人ほど。サーバーがダウンしないよう時間差で通知する仕組みを整えた。個人情報保護の観点から回答者にはLINE IDとは異なる識別子を割り当て、調査結果は統計処理して個人を特定できないようにし、調査や分析が終われば速やかにデータを破棄するようにした。質問事項は厚労省クラスター班と相談しながら作成している。

緊急時の活用は「信念」

 LINEはこれまでの5回の調査に「CSR(企業の社会的責任)として無償で協力している」(江口執行役員)。江口執行役員は「災害や感染症の流行といった緊急事態時にLINEアプリを活用してもらうのは当社の信念だ。もし数十億円出すからマーケティングにこの全国調査の仕組みを使わせてほしいと企業から頼まれても断るだろう」と話す。この背景には東日本大震災の際に大切な人と連絡を取りにくかった人たちが多かったことから、スマホのコミュニケーションアプリとしてLINEアプリが2011年6月に誕生したことが影響している。

 協力は厚労省だけにとどまらない。2020年3月5日には神奈川県がLINE公式アカウント「新型コロナ対策パーソナルサポート(行政)」を開設した。1人ひとりの健康状態などをLINE公式アカウントに入力することで、本人に合った情報を提供する仕組みだ。例えば発熱が続くなどリスクの高い人には自治体の相談窓口の情報を案内している。

神奈川県の「新型コロナ対策パーソナルサポート(行政)」の画面
神奈川県の「新型コロナ対策パーソナルサポート(行政)」の画面
(出所:LINE)
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