「Unreal Engine」と「Unity」。ゲーム業界で広く使われる「二大」ゲーム開発ツール(ゲームエンジン)を巡る動きがにわかに活発になっている。
Unreal Engineを手掛ける米Epic Gamesは独自課金システムの導入を機に米Appleとの係争に突入している。この争いに米Microsoftが割って入った。EpicとAppleが係争中の裁判所に対して、2020年8月24日(現地時間)に行われる初公判に合わせてEpic支持の姿勢を表明する意見書を提出した。MicrosoftはUnreal Engineを利用して複数プラットフォーム向けのゲームタイトル開発を手掛けており、このままEpicとAppleの争いが長引けば、Unreal EngineをiOSやmacOS向けゲームの開発で今後利用できなくなる恐れがあるからだ。
一方、Unityを手掛ける米Unity Softwareは同日、新規株式公開(IPO)を申請。事業拡大に向けて大きな一歩を踏み出した。
手軽に3次元(3D)映像を作成できるUnreal EngineやUnityはいまやゲームにとどまらず、3D映像の制作やVR、医療、建築などさまざまな分野のコンテンツ作成で利用されている。そのためUnreal EngineとUnityの動向は、ゲーム業界のみならず幅広い業界に影響が波及する状況になっている。
発端は独自課金システムの導入
EpicとAppleの争いの発端は、Epicが20年8月13日(現地時間)に、iOS端末やAndroid端末で同社独自の課金システム「Epic direct payment」を開始したことにある。AppleとGoogleがそれぞれ手掛けるアプリストアで課す手数料の支払いを回避する手段であり、それがアプリストア規約に反するため、Epicの人気ゲーム「フォートナイト」の配信は両ストアで同日停止された。