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 ドイツBMWは自動運転システムの半導体構成を示した。レベル1~5の各システムとも、米Intel(インテル)/イスラエルMobileye(モービルアイ)の半導体を多用する。オーストリアTTTech Autoが2020年4月に開催したイベント「The Autonomous」でBMW Principal Expert of Autonomous Driving TechnologiesのSimon Furst氏が発表した。

 BMWは21年に同社初のレベル3の自動運転車「iNEXT」を市場投入する。iNEXTのセンサーやECU(電子制御ユニット)といったシステム構成は「CES 2020」で発表済みだが(関連記事)、今回はECU内部の半導体構成まで示した点で注目できる。

BMW初のレベル3自動運転車「iNEXT」の試作車
BMW初のレベル3自動運転車「iNEXT」の試作車
(出所:BMW)
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 自動運転に必要な認識処理にモービルアイのSoC(System on Chip)「EyeQ5」を使いつつ、全体制御用のプロセッサーとしてインテルのSoC「Denverton(開発コード名)」を組み合わせる。BMWは2016年に自動運転車の開発でインテル、モービルアイと提携しており、その関係を生かした構成といえる(関連記事)。

BMWが示した自動運転システムの半導体構成
BMWが示した自動運転システムの半導体構成
(出所:BMW)
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 レベル3の自動運転を担うECU「hPAD」は、LiDAR(レーザーレーダー)やカメラ、ミリ波レーダーの信号を処理する、いわば頭脳に当たる部分。そこには、モービルアイのEyeQ5を2個、インテルのDenvertonを2個、ドイツInfineon Technologies(インフィニオンテクノロジーズ)のマイコン「AURIX」を1個と、複数の半導体を組み合わせて搭載する。

 レベル3では、hPADのほかにバックアップ用(フォールバック用)のECUも搭載するが、これはレベル2用のECUをそのまま流用する。具体的にはDenvertonとAURIXから成るECU「mPAD」、EyeQ5とAURIXで構成するECU「ADCAM mid」をバックアップ用とする。これらはフロントカメラとミリ波レーダーを組み合わせたレベル2用のシステムで、hPADが故障しても最低限の安全性を確保できる。

 レベル4/5の完全自動運転車に向けたECU「uPAD」は、EyeQ5を3個、24コアの「Xeon」を1個、AURIXを1個使っており、より演算性能を高めた構成である。センサーもLiDARを複数使うなど、大幅に強化している。そして、バックアップ用のECUはやはりレベル2のシステムを流用する。

 レベル3や、レベル4/5の車両は、現状ではまだそれほど多くの出荷量は見込めず、専用のシステムを作ると高コストになりやすい。このため、出荷量が見込めるレベル2のシステムをベースに、必要に応じてECUを追加する考え方のようだ。過去のソフトウエア資産を生かしつつ、コストを削減する狙いがあるとみられる。