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Edgeの「IEモード」も有用

 ユーザー教育やシステム運用の観点から複数のブラウザーを併用するのを避けたい場合は、Edgeに一本化する手もある。Edge最新版(Chromium版)は標準で「IEモード」という機能を備えている。IEモードを使えば、IEに依存するWebアプリをEdgeで読み込む際に、IEの処理エンジンを使ってEdgeで表示できる。

Edgeの「IEモード」で日経クロステックを開いたところ。URL横にIEのアイコンが表示される
Edgeの「IEモード」で日経クロステックを開いたところ。URL横にIEのアイコンが表示される
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 企業ユーザーがIEからEdgeのIEモードに移行する場合、最低限の動作検証は必要だが、「IEモードの完成度はかなり高く、既存WebアプリがEdgeのIEモードでもうまく動作するケースが多い」(増田室長)。

 ブラウザーをEdgeではなくChromeに一本化する手もあるが、IE依存のWebアプリを使い続けるにはEdgeのほうが有利だといえる。ChromeでもIEモードに相当する機能を使うことはできる。ただ、機能拡張(アドオン)が必要だったり、描画が不完全だったり、「特定サイトにアクセスする際はIEモードに切り替える」といった全社的なポリシーの設定・管理がしづらかったり、という難点がある。

「MS自身が見限った」ことは強いメッセージ

 では、IE依存のWebアプリをそのままにしておいてもよいのか。増田室長は中長期的にはIE依存を解消すべきだとみる。「IEはかつてWebブラウザーのデファクトスタンダード(事実上の標準)だったが、仕様が独特でWebの公式な技術標準とはかけ離れている。IE対応のWebアプリを作るには開発者にとって余計な負担がかかる。今回、Microsoft自身も自社製品であるMicrosoft 365のIE対応をやめると決めたことは、現状を変えようとする強いメッセージだと捉えるべきだ」(増田室長)。Microsoft自身が主力サービスでIEを見限った以上、単にMicrosoft 365の移行先を考えるという対症療法的な対応にとどめるべきではないとの指摘だ。

 IEは「ActiveX」などの独自機能を多く盛り込んで2000年頃までにWebブラウザーのデファクトスタンダードの地位を獲得した。だがその後、公式な技術標準に準拠して開発されたChromeや米Apple(アップル)の「Safari」、米Mozilla Foundation(モジラ財団)の「Firefox」などのブラウザーが主流になっていった。MicrosoftもEdgeでこの流れに追随している。

 かつてのIE全盛期から20年ほどが経過し、ActiveXを含むIE独特の仕様を熟知した開発者も少なくなっている。IE依存のWebアプリを適切に保守し続けるのが困難になりつつある。中長期的には、最新の技術標準に沿ったWebアプリへの移行を図ったほうがよさそうだ。