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 エルピクセルは2020年8月28日、人工知能(AI)を利用して胸部X線画像から肺結節の検出を支援するソフトの販売を開始した。医療機関に直接販売するほか、医師が画像データを保管、閲覧、管理する医療用画像管理システム(PACS)を手掛けるPSP(東京・港)と業務提携し、同社のPACS利用施設でも使えるようにする。

読影感度の向上を実証

 エルピクセルが販売を始めるAIソフト「EIRL Chest Nodule」は、胸部X線画像から、肺結節に類似した領域を自動で検出することで医師の読影を支援する。2020年8月20日付けで薬事法における医療機器製造販売承認を取得した。深層学習を活用した胸部X線画像診断支援ソフトとしては国内初の薬事承認となる。

AIソフト「EIRL Chest Nodule」の画面。胸部X線画像から肺結節の候補領域を検出する
AIソフト「EIRL Chest Nodule」の画面。胸部X線画像から肺結節の候補領域を検出する
(出所:エルピクセル)
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 胸部X線検査は一般健康診断(健診)の検査項目に指定されるなど、幅広く利用されている。同ソフトはまさに健診での利用を想定しており、大量に読影しなければいけない医師にとっては見落としを防ぎやすくなる。施設の規模や利用する量によって異なるが、エルピクセルの販売価格は月額10万円から、初期導入費は数十万円からになる見込み。

 エルピクセルは深層学習を活用し、国内の複数施設で過去に撮影された胸部X線画像を学習させて同ソフトを開発した。医師が読影中に同ソフトを使うことで見落としを防ぎつつ、肺結節の検出感度を高めるのが狙い。

 検出感度向上の性能評価試験では、読影医18人(うち放射線科専門医9人、非放射線科専門医9人)が胸部X線画像計320症例を、同ソフトのサポートがある場合とない場合の両方で読影した。それぞれを比較した結果、肺結節がある領域を正しく検出できた割合を示す感度は、同ソフトのサポートがあると、放射線科専門医が9.9ポイント、非専門医が13.1ポイント向上した。

 「医師1人で1日に1000枚の画像を読影する施設もあるので常に見落としのリスクがある。読影する側からすると、見逃しをサポートしてくれるのは大きい。まず健診からAIを使っていくのは良いと思う」。同ソフトをテスト利用した、放射線科医で東京大学医学部付属病院放射線科チーフレジデントの越野沙織医師はこう評価している。

 深層学習を活用したAIソフトは一般的に、学習データの質や量を向上させることで能力を高める。エルピクセルの島原佑基代表は「今後もAIをバージョンアップさせ、検出感度を改善していく」と意気込む。