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 英国の調査会社JATO Dynamics(JATOダイナミクス)は、欧州で今年上半期(2020年1~6月)に販売された新車のCO2排出量を発表した。欧州21カ国の乗用車のCO2排出量平均は118.5g/kmで、2019年の122g/kmよりは減っているものの、2021年に迫った新しいCO2排出量削減目標にはまだ遠いことが分かった(図1)。近年のSUV(多目的スポーツ車)人気とディーゼルエンジン車の販売減少が、燃費向上技術によるCO2排出量の改善を相殺している。

図1 欧州販売車のCO<sub>2</sub>排出量(平均)は2021年規制にほど遠い
図1 欧州販売車のCO2排出量(平均)は2021年規制にほど遠い
(出所:JATO Dynamics)
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 欧州では2021年から「自動車メーカーごとに販売される新車のCO2排出量が、販売台数を加味した加重平均で95g/km以下」という規制が始まる。2020年には段階的に一定数の新車が新規制値を達成しなければならない。達成できなかった場合の罰金は、目標を超過したg/km値ごとに、95ユーロかける販売台数となる。

もうけ頭のSUVは電動化が進まず

 SUVは近年の欧州自動車市場において最もシェアが高いセグメントである。SUVのCO2排出量は平均131.5g/kmで、10セグメントのうちスポーツカー、高級セダン、バンに次いで4番目に高い。しかし、スポーツカー、高級セダン、バンの販売シェアは合計で4.5%と低い。CO2規制値に近づくためには、シェアで4割を占めるSUVのCO2排出量を下げることが必要だ。にもかかわらず、SUVの平均CO2排出量はここ数年下げ止まりで、販売台数は順調に増加している(図2)。

図2 欧州のCO<sub>2</sub>排出量規制達成を阻むのは人気のSUV
図2 欧州のCO2排出量規制達成を阻むのは人気のSUV
(出所:JATO Dynamics)
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 SUVの販売数増加はメーカーの売り上げと収益の向上に直結してきた。しかし、他のセグメントより大型で重いため、CO2排出量が多い。いかに収益性を維持しながら規制のペナルティーを回避するのかが課題となる。欧州メーカーはハイブリッド車を含む電動化で対応しようとしているが、電動車開発には莫大なコストがかかり、バランスシートに大きな影響を及ぼす。

 解決策の1つは、より小さいSUVを導入することだ。小型SUVは大型や中型SUVより軽く、多くは4輪駆動ではないため、CO2排出量はSUV全体の平均値より低い。しかし、それでも中型乗用車よりは高い。これはSUVに電動車、特に電気自動車(ピュアEV)が少ないことが要因として挙げられる。