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 電話番号を変えずに契約する携帯電話事業者を変更する「番号持ち運び制度(MNP)」の手数料が、無料化も含めて抜本改定される見通しとなった。総務省は2020年8月27日に有識者会合を開き、MNP手数料をWeb手続きで無料(店舗手続きの場合は1000円以下)にするよう携帯電話事業者に求める報告書案を公表した。現在は各社とも一律に税別3000円を徴収している。

 今回の報告書案でMNP無料化よりも携帯電話事業者に影響が大きいのは、携帯電話の利用者に携帯電話事業者を乗り換えにくくさせている別の要因にもメスを入れた点だ。MNP手続き時に横行していた、携帯電話事業者の過度な引き留め行為について、禁止行為や制限行為を明示した。具体的にはMNPを思いとどまらせるために、自社の料金プランを再度説明したり、ポイント付与など利益を提供したりする行為などである。

総務省が案を示した「過度な引き留め」として禁止する行為
総務省が案を示した「過度な引き留め」として禁止する行為
(出所:総務省)
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 日本の携帯電話の契約者は1億8000万件を超えるが、近年のMNP件数は年間500万件前後とピーク時の7割程度に低迷している。NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの携帯大手3社の解約率は0.5%強~1%未満と極めて低水準だ。

 総務省は2019年10月施行の電気通信事業法改正で競争活性化を狙ったが、その後のMNP件数はむしろ減ってしまった。引き留め工作の禁止は、MNPの停滞に刺激を与えられるのか。

MNP希望者だけへの利益提供は禁止

 報告書案は、2020年8月27日に開催した有識者会合「競争ルールの検証に関するワーキンググループ(WG)」の第8回で総務省が示した。2020年9月7日開催予定の第9回でも議論し、パブリックコメントを経て2020年10月中にも最終報告書を公表する。早ければ2020年末にも新ルールの運用が始まる見通しだ。

 MNPや解約における引き留めは店舗だけでなく、無人のWeb手続きでもある。大手3社のWebサイトでMNPを手続きすると、3社とも自社の料金プランやサービス内容を再度説明するページを強制的に表示する。加えて解約の理由を問うアンケートに答えないと、MNP手続きが先に進まない事業者もある。ポイント付与を条件に、自社料金プランを継続させる誘導もあるという。

 総務省の調査によると、電話や店頭でも引き留め工作が横行している。自社サービスを説明するほか、端末代金の割引や料金割引、ポイント付与などを提案して思いとどまらせるよう行為が確認されている。