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 シンガポール保健省(Ministry of Health:MOH)は慢性疾患の重症化を防ぐためにICTを活用し、費用対効果の高い医療体制への変換を目指している。シンガポールと日本では医療制度が異なるものの、疾患の悪化防止や予防の段階でICTを活用して医療の費用対効果を高めようとする考え方は参考になりそうだ。

IoTを使って在宅で血圧管理

 シンガポール保健省内にはICT活用に取り組む専門組織の「MOH Office for Healthcare Transformation(MOHT)」があり、そこが旗振り役となってICTを活用した医療を一部の地域で実際に実践し、結果を評価している。うまくいけばシンガポール全体の仕組みとして展開していく計画だ。

 MOHTが高血圧の患者を対象に、IoT(インターネット・オブ・シングス)機器を活用して在宅で血圧を管理するプロジェクトを展開したところ、通常の通院型の診療と比較して患者の血圧を制御しやすい傾向が見えてきたという。

 プロジェクトを主導するGerald Koh(ジェラルド・コー)氏が2020年8月27日、日本経済新聞社とシンガポール国立大学Enterpriseが共催したウェビナー「ヘルスケアイノベーション・エコシステムの構築~レジリアントな社会と持続可能な経済に向けて~」で講演した。コー氏はMOHTのFuture Primary Care部門Clinical Directorを務めている。

プロジェクトを主導するMOHTのGerald Koh氏
プロジェクトを主導するMOHTのGerald Koh氏
(出所:MOHT)

血圧管理が脳卒中などの防止につながる

 同プロジェクトでは、通常なら高血圧の患者は年に4回通院して診療を受けるところを2回に減らした。その代わりに在宅でIoTの血圧測定デバイスを使って血圧の値をモニタリングした。

MOHTが実施したプロジェクトの概要
MOHTが実施したプロジェクトの概要
(出所:MOHT)
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 計測結果は自動的にアプリに記録され、結果に応じてアプリのチャットボットが患者にアドバイスを発信する。チャットボットは他にも、血圧測定や薬を飲む時間を患者に知らせ、測定と服薬のし忘れを防いだ。