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 うつ病の治療には、精神療法の1つである認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy:CBT)が有用とされる。しかし実施するのに時間がかかるため、人材不足の医療現場では広く普及していないのが現状だ。この状況をデジタル技術で変革しようと、製薬会社の田辺三菱製薬が動き出した。

 田辺三菱が手掛けるのは認知行動療法に基づく、うつ病を対象とした治療用アプリの開発である。アプリなどデジタル技術を活用して治療を目指す取り組みは、デジタルセラピューティクス(DTx:デジタル治療)と呼ばれて注目を集めている。田辺三菱は規制当局からの承認取得を見据えており、2020年度中にもアプリの治験を開始し、承認申請して25年度までの販売開始を目指す。

 田辺三菱が開発するアプリは、京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康増進・行動学分野の古川壽亮教授と、国立精神・神経医療研究センター(NCNP)認知行動療法センターの堀越勝センター長が開発した「こころアプリ」がベースになる。田辺三菱は2者とライセンス契約を締結し、アプリの改良と治験、日本での販売を担当する。

 患者はアプリを通じて質問に答え、自分の感情や行動、考え方などを自身で認識して記録したり、考え方を広げたりするためのトレーニングを実施する。こころアプリの臨床研究では、抗うつ薬のみを利用する人に比べて、抗うつ薬とアプリを併用した人の方が、うつ病の症状を改善できたという。研究グループが2017年11月にデジタルヘルス分野の学術雑誌であるJMIR(Journal of Medical Internet Research)に成果を報告した。