三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と米Akamai Technologiesによる新たな決済ネットワークが姿を現す。両社が共同出資するGlobal Open Network Japanは2020年12月に、加盟店や決済センターとクレジットカード会社などのペイメント事業者を結ぶ「GO-NET」を本番稼働させる計画だ。決済センターとしてセイコーソリューションズ、ペイメント事業者として三菱UFJニコスと契約済みで、「2021年3月末までにクレジットカード会社4社と契約を結ぶ見込み」とGlobal Open Network Japan代表取締役CEO(最高経営責任者)の徳永信二氏は明かす。
GO-NETの売りは高速・低コストだ。テスト環境では、10万トランザクション/秒の処理性能を実現している。米Visaの決済ネットワーク「VisaNet」の6万5000トランザクション/秒を上回る。2020年10月には本番環境で性能を実証する予定だ。
さらにGO-NETのサービスを「圧倒的な価格競争力で提供する」(同)。三菱UFJニコスなどが利用する決済ネットワークサービス「GO-NET FM センター接続サービス(仮称、以下のサービス名も同様)」の料金は、NTTデータの「CAFIS」や日本カードネットワークの「CARDNET」といった既存サービスに比べて半額程度を想定している。
安定的な高速性を実現するために、与信管理をGO-NETで処理する「GONET MV 与信枠管理サービス」も提供する。従来はクレジットカード会社のホストで処理していた与信処理をGO-NET上のサーバーで処理する。クレジットカード会社およびEC(電子商取引)事業会社と共同でサービスの開発を進めており、10月末に仕様を固める予定だ。
既存の決済ネットワークとの連携機能「GO-NET FM ネットワーク接続サービス」も用意する。最初の連携相手として、CAFISとGO-NETの相互接続について、NTTデータと3月に契約を結んだ。加盟店側はCAFISと接続したまま、GONETを介してペイメント事業者と接続する。既存の加盟店や決済センターは変更なしでGO-NETを利用でき、ペイメント事業者は従来よりも低コストで利用できるようになる。ペイメント事業者には戦略的な価格設定をして、利用の促進を狙う。