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 アラスジャパン(東京・千代田)は、デジタルツインの運用支援と、ユーザーでの導入時やバージョンアップ時のテスト工数低減などを目的に、PLM(製品ライフサイクル管理)ツール「Aras Innovator」(米Aras)の新機能などを相次いで追加した。2020年7月にはデジタルツインの運用支援機能「Digital Twin Core」の提供を開始し、同8月にはシミュレーションのデータを管理する機能「Simulation Management」などを含むAras Innovatorの新版「バージョン12SP9」の提供を始めた。

 追加された新機能の主な狙いは、市中で稼働する出荷済み製品の情報をIoT(Internet of Things)で取得して将来の稼働状態を予測した上で、MRO(メンテナンス・修理・オーバーホール)に利用するシステムの構築。さらに、Aras Innovatorを導入したユーザーでのカスタマイズとバージョンアップの期間短縮を狙い、テストを自動化するツールなどを提供する。

デジタルツインの基礎はMROマスター情報

 Digital Twin Coreは、メーカーが出荷して市中で稼働中の製品(市中製品)について、その状況をIoTの仕組みによって集約、管理する機能。最初のリリースでは「シリアル番号などの個体情報を合わせて製品情報を管理するマスター」(アラスジャパン)と位置付ける。「集めた情報をMROに利用すると想定しており、そのためのマスターを先にリリースした」としている(図1)。

図1 Aras InnovatorのDigital Twin Core
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図1 Aras InnovatorのDigital Twin Core
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図1 Aras InnovatorのDigital Twin Core
部品の交換、アップグレードといった履歴の管理機能(aのツリー表示)を利用し、個別の製品の構成変化を記録、追跡する。基本はBOM(部品表)のような「マスターデータ」(アラスジャパン)に相当する(b)。(出所:アラスジャパン)

 Aras Innovatorには保守や修理の履歴を管理するサービス部品表(サービスBOM)機能が既にあるが、Digital Twin Coreは別に開発している。役割は近いように思えるが「IoTに対応した市中製品のMROは、従来の保守サービスよりも内容が増える。例えば、稼働状況をベースにしたデジタルツインでのシミュレーションにより、部品寿命やメンテナンス時期の予測が可能になる。そのため、既存の保守サービスを前提としたサービスBOMとは別のマスターを整備すべきだと考えた。結果として近い機能になるかもしれないが、考え方は異なる」(同社)という。

 Digital Twin Coreと前後して提供を始めたSimulation Managementは、シミュレーション実行時の条件や結果を専門に管理する機能。製品開発でのシミュレーションだけでなく、Digital Twin Coreとの組み合わせにより、稼働中の製品状況の予測にも利用可能になる。